Episode191 ／ ハエたたき ページ44
『
運任せであらゆる武器を具現化する能力。
ノブナガに言われたんだ。
ーー｢遺伝かなんだか知らねぇけどよぉ、それも全部含めてお前なんだからわがまま言ってねぇで認めちまえ。｣
不器用なノブナガなりの私への気遣い、と気づいた時にすんなりと受け入れることができた。
｢使うんだ♥｣
『うん、これも私の一部だ。認めるよ』
私の少し上が光って武器が落ちてくる。
それを左手でキャッチした。
『…』
｢…｣
｢ ｢…｣ ｣
私、ヒソカ、審判や実況のお姉さん、そして観客まで全てが固まった。
｢…それで戦うのかい？｣
『…うん。』
私の手に持たれているのは、ハエたたき。
確かに、ハエに対しては武器に当てはまるが…。
｢な、な、なんと！A選手の手にはハエたたき！一体あれでどのように戦うのでしょうか！！｣
出てしまったものは仕方がない。
一日に三回までしか使えない能力だ。
どうしても無理だったら…変えよう。
『…行くよ』
具現化してるだけあって威力は上がってるはずである。
私は凝で常にヒソカを警戒しながら、ヒソカへと近づいた。
するとヒソカは私に向けて手のひらを出した。
｢ちょっと待ってよ♦｣
『…時間稼ぎ？』
もう一度ヒソカと距離を取り直して、ため息をつく。
｢これ、あげるよ♥｣
ヒソカが差し出した手には真っ白いスカーフがあった。
ゆっくりと近づいてきたヒソカを警戒していると、ヒソカは耳元で囁いた。
｢…ボクと戦うなら本気で来て欲しいんだ♥だから…これで首、隠しなよ♠｣
そういったヒソカは私にスカーフを押し付けて首を絞めた。
｢おおっとー！？二人に何が起きている！？なぜA選手は首を絞められているのでしょうか！｣
なるほど。ヒソカの能力か、これも。
ヒソカは私の首を掴んだまま上空へと放り投げた。
その瞬間、私の首にスカーフが巻きついた。
｢これでおーけー、だろ？｣
『人生であんたに感謝したのは二回目だよ』
無事着地して、フードを取って髪の毛を高い位置で縛る。
半年ぶりだ、首元がすーすーする。
｢A選手！何事も無かったように髪の毛を上げたーっ！なんということでしょう！フードの下は美少女です！｣
うるさい実況だなー…。
でもこれで試合に集中出来る。
しかっり左手にハエたたきを持って再びヒソカに向かっていく。
｢A選手反撃かあ！？怒涛のハエたたきラッシュ！｣
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作者名：ろりお | 作成日時：2019年8月17日 22時
