Episode180 ／ 危ナイモノ ページ33
キル…大丈夫かな。
今のウイングさんのオーラ…きっとイルミがキルに対して使っていたのに似ている。
キルはそれにすごく恐怖を植え付けられてるから…。少し心配だ。
ウイングさんは未だ天井の隅に張り付いてしまっているキルに目を向けず、話し始める。
キルは少し怒っているようで、何も言わずに宿を出ていった。
｢ありがとうございました！｣
『ありがとーです』
ゴンにならって、一応ぺこっとしてから宿を出ようとすれば、
｢Aさん、ちょっと話したいことが。｣
そう言ってとめられた。
ゴンに、先に行っててと言ってから宿を出かけた体を戻してウイングさんに向き直す。
ガチャ、と後ろで扉が閉まる音がした。
『話ってなんでしょーか』
｢君、１階でズシと戦った時に念を使ったね？｣
眼鏡の奥で細い目が光る。
『…別に念使っちゃダメなんて掟ないですし。先に使ったのはズシくんですから。』
念を使ったことを怒られたのかと思って、言い訳を述べる。
でも別に私怒られることしてなくない？
｢いえ、そうじゃなくて。宜しければ、誰に教えてもらったのか教えてくれませんか。｣
ズシくんは私とかなり距離を取って離れたところで話を聞いている。
『…どっかの暗殺一家とだけ答えておきますよ』
ゾルディック家、なんて迂闊に名前を出していいものでは無い。
私がそう言えば、ウイングさんは険しい顔をした。
｢暗殺一家…それは君自身も…｣
彼はそこで言葉を止めた。
｢約束してください。ゴンくんとキルアくんにはまだ念を教えないでください。…Aさんのような歳で完璧に念を使える人がいるとは思いませんでしたが……あなたなら分かるでしょう？｣
そう言ってウイングさんは私に対して負のオーラを送った。
絶を解いて纏をして身を守れば、ウイングさんは驚いているようだった。
別にずっと絶してるのはそんなにすごい事じゃないと思うけど。
｢念は時に人を傷つけるものになる。だからこそ、念を使えるものは教えるものを選ばなければなりません。｣
『…そうですね。だけど彼らには才能しかないんですよ。まだ知る時期ではないと私も思うのでー、私からはまだ教えるつもりは無いですけど、』
私がそういうとウイングさんは念をすっ、と消した。
なので私も絶の状態に戻す。
『ゴンとキルが、我流で念を習得しようとしたり…念が必要になったら私は教えちゃいます。』
そう言ってウイングさんの宿を出た。
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作者名：ろりお | 作成日時：2019年8月17日 22時
