Episode173 ／ 家族と過ごす時間 ページ26
｢たまにはこっちの
『ははっ、仕方ないなー』
ちゃっかり私に仕事をさせようと企むじいちゃんに笑みが漏れた。
｢俺仕事あるから。｣
イルミはそう言って出ていった。
イルミの姿が見えなくなるのを確認して、じいちゃんと父さんに問うた。
『…キルと一緒にここを出るよ』
二人の目を見て言えば、部屋には沈黙が広がった。
数分なのか数十分なのか。
その沈黙を破ったのは父さんだった。
｢好きにしろ｣
｢うむ…じゃがゴンたちが試しの門を開けれるまではミルの好きにさせてやれ｣
『…わかった。』
じいちゃんもイルミと同じように出ていった。
｢ここで5年間暮らしてどうだった｣
残ったのは私と父さん。
唐突にそんなことを聞いてきた。
『…楽しかった。自分の家が地獄っておかしいんだけど、本当にここで5年も育ててもらって幸せだよ』
｢…そうか。キルを頼んだ｣
『なんか私とキルが結婚するみたいになってるよ？』
暗くなった雰囲気を飛ばすように、冗談を言えばあながち間違ってない、と返された。
え。
え？
｢そろそろキキョウが戻ってくるんじゃねぇか？｣
『カルトとは話したいけど…母さんに会ったら絶対止められるからなー。』
母さんのキルア愛は半端じゃない。
だからこそ今は会えない。
父さんに挨拶してから、私は窓から部屋を出た。
スコープに入らないようにしなきゃ。
『ゴン！クラピカ！レオリオー！』
｢A！！｣
重たそうな岩を引きずっているゴンたちに声をかければ、わんこのようにゴンは駆け寄ってきた。
『お久しぶりー』
｢まだ別れてから1週間ほどだが…。｣
『そーゆーこと言わないのクラピカ！』
ゴンたちに合流し、ゼブロさんとシークアントさんに無理言って私も特訓させてもらった。
そんな日々を過ごして5日ほど。
私たちは屋敷へと向かった。
『あっ…』
｢…急に叫ぶなよ…｣
｢どうしたの？A｣
私は視線を感じた。
顔には出さないけど確かにどこかから見られている気がする。
十中八九母さん…めんどくさい事になる前にここを離れることを決めた。
『ゴン、私ここから先行けないや。キル連れ戻したら連絡ちょーだい！じゃあ！』
無理やり別れを告げて全速力で山を下りた。
｢え？ちょっとA！｣
ごめんよ、ゴン
ゴンの呼び止める声を無視してしまったことに胸がいたんだ。
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作者名：ろりお | 作成日時：2019年8月17日 22時
