Episode163 ／ 新たな発見 ページ16
私も練をしていつもよりも多いオーラを纏う。
ノブナガ相手に余裕なんてない。
クランの数十倍強いのだから。
｢なにやってんの朝から｣
その声に視線だけやると、頭を掻きながらマチが起きたようだった。
私たちのオーラで目が覚めたらしい。フィンクスとウボォーを覗いた団員は皆起きていた。
まぁ敵意が篭もったオーラではないといえ、ウボォーとフィンクスは危機感無さすぎる…。
『外行こうノブナガ』
｢手ぇ抜くなよ？｣
『殺さないでね』
一言ずつ会話をかわしながら、私達はアジトから少し離れたひらけた場所に来た。
『じゃー、始めよう』
私の言葉と同時に、ノブナガは地面を蹴って一気に間合いを詰めに来た。
速い
今までよりも格段と。
でも見えないほどじゃない。
右に飛んで、更にノブナガの背後へと飛んでナイフを振り下ろす。
しかしそれは難なく避けられた。
｢もしかして本気かァ？｣
『な、わけないじゃん』
カキンッとベンズナイフと刀が当たり、再び距離を取って対峙する。
｢能力使えよ｣
『嫌だね』
｢舐めてんのか｣
『舐めないよ汚い』
『…使わせてやるぜ』
そしてさっきの段違いで速い速度のノブナガの斬撃を間一髪で止める。
目で追えない…
円を広げて目を閉じる。そうでもしなければ、完全に殺られる寸前だった。
｢んな短剣で俺に勝てると思ってんのかぁ？A！！｣
『…使わない！』
｢なんでだよ！｣
そんなの決まってる。私の能力じゃないから。
私は知ってる。普段から使うことの出来る能力は、蜜月の存続が危機になった場合に遺伝される。
私が弱いから、遺伝されたも同然だ。
自分が、弱いと裏付けるようなものだ。だから使いたくない。
それをノブナガに伝えると、ノブナガは怒鳴った。
｢馬鹿じゃねぇのかおまえ！受け継いだんだったら有難く使えばいい話だろォ！｣
『…はぁ！？だから嫌だって言ってるじゃん！』
｢それが意味わかんねぇっつってんだろ！？｣
二人で戦闘をほっぽって言い合う。
どちらも譲らない。
あれ、私ってこんなタイプだっけ…
『うるさい！もうノブナガと戦わない！』
｢はぁっ？…お前そんなタイプだったか？…ていうか、目ぇオレンジだぜお前｣
『あーもう知らない聞こえなーい』
耳を塞いでアジトへと歩き出す。
なにかノブナガが叫んでる気がしたけど無視した。
一人残されたノブナガは呟く
｢あいつあんなに短気だったか？｣
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作者名：ろりお | 作成日時：2019年8月17日 22時
