Episode161 ／ トクベツな蜜月 ページ12
『あと…もうひとついいかな。』
｢あぁ｣
私の問いに団長は静かに頷いた。
話すべきかすごく迷った。話したくないとも思った。でも…この先一緒にいる為にも知っておいて欲しい。
もし、気持ち悪がられたり嫌われたりするなら覚悟している内の方がいい。
『私が多重人格…なのは知ってるよね。テルに聞いて目の色が変わることも知ってると思う。』
『目の色が変わると扱える念の系統も変わることも。水見式とかやったわけじゃないから正確じゃないんだけど。』
私は自分が人格が変わってる時は記憶が曖昧になる。確かに自分の意思ではあることには違いないけど。
簡単に今わかっている性格と念の系統について説明した。
赤は操作系
ピンクは強化系
オレンジは放出系
そして…普段よりも濃い銀は特質系
普段は具現化系
『で、なんだけど私自分の発持ってないんだよね』
私の言葉に一瞬空気が揺れた。
｢どういうことだ？今まで使ってたものは？｣
『蜜月は神に愛されてるんだって』
私はリュックから二冊の本を取り出して団長に渡した。
｢これは…蜜月の歴史書と、特質書きのようなものか？｣
それをパラパラと捲りながら団長は言う。
｢そんなのあるの？団長、俺にも見せてよ｣
シャルが団長の上から覗きこむ。
『そんな感じ。昔読んだっきりだけど。』
この本は両親の遺品だ。
蜜月の血縁の家系に受け継がれているらしい。
家からついでに持ってきた。
『私自身が使えるのは、その本に書いてあるやつだけ。他のは全部、人格が変わった時しか使えないんだよね』
｢めんどくせぇ体質だな｣
｢同感ね｣
フィンクスが顔を顰めて言い、フェイタンもそれに賛同した。
『…私もそう思うよ』
久しぶりだなーこの感じ。
少しざらざらした床。
うとうとと意識が微睡んだ頃、誰かに呼ばれた気がした。
｢寝たね｣
｢みたいだな。聞きたいことあったんだが…｣
寝かせてやろう、その一声にそれぞれが賛成した。
｢読み終わたらワタシにも貸すねそれ｣
｢あぁ、こっちはもういいぞ｣
クロロは、歴史書の方をフェイタンに渡した。
彼は読むのが速い。
｢Aの多重人格は蜜月特有のもののようだな。全員という訳では無いが、全体の20%ほどがそうらしい。｣
｢テルは暗黒大陸にいる別のナニカ…か…｣
ますます興味が湧く。
実に良い顔でクロロは呟いた。彼は盗賊団の団長
Aは二度と彼の元から離れることは出来ないだろう
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作者名：ろりお | 作成日時：2019年8月17日 22時
