Episode160 ／ 似合わないもの ページ11
夜も更けたころ、アジトのホールにはヒソカとウボォー、ノブナガ、ボノレノフを除いた10人が集まっていた。
私はフェイタンの隣にぴったりとくっついて座っていた。
それぞれ自分の好きなことをしているけど、普段なら部屋や外にいる彼らがホールに集まっている。
誰も強制はしないけど、それとなく私の話を聞くためにここにいるのは一目瞭然だった。
覚悟、決めなきゃだなー…
話さなきゃ。分かっていても口はなかなか開かない。
でも、2年も前からみんなは待ってくれてるんだ。
深呼吸してから私は口を開いた。
『…私、オーラが不安定なんだ』
俯いていても、みんなの視線が集まることがわかった。
『日に日にオーラの量が増えていってて、半年前はそれを制御することが出来なかった。』
『…団長の腕が私の能力でやけ爛れたとき、このままだと他の人も傷つけちゃうんじゃないかって怖かった。』
抑えれないんだ
静まり返ったホールに私の声だけが響いた。
『だから逃げた。傷つける前にいなくなればそれでいいと思った。』
『でも、寂しかった。どこに行っても、誰かとすごしても私……やっぱり旅団といたい』
堪えていた涙が一粒地に落ちたのをきっかけにとめどなく溢れた。
｢いたらいいね。ワタシもう探すのイヤよ｣
最初にそう言ってくれたのはフェイタンだった。
｢あたしもあんたがいないのは嫌だね｣
｢Aがいてこその蜘蛛じゃないの？｣
｢いたい時にいればいいんだよA｣
マチ、シズク、シャルが言う。
｢お前が俺らを傷つけようとしたら止めてやる。俺らじゃ不満か？｣
団長のその言葉につい笑みが漏れた。
『充分すぎるよ…ありがとう』
今までのこと全てにありがとう。
もう逃げないよ。ここにいるんだ。
私は新たに心に誓った。命をかけてみんなを、旅団を守る。
｢Aらしくないね｣
｢私も思う。Aにシリアスは似合わないよ｣
フェイタンとシズクの一言で暗くなっていた場が和んだ。
｢ひとつ聞いていい？A｣
『うん』
｢Aがいなくなって数日後からハンター試験が始まる少し前までAの情報が全部見れなかったんだけど｣
『あー…私師匠が出来たんだ。プロハンターのすごい人で、憶測だけど師匠が隠してくれてたんじゃないかなって思ってる』
あ、そういえばゴンがジンはダブルハンターだと言ってたよーな。
そのことをシャルにジンの名前は伏せて伝えると、納得したみたいだ。
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作者名：ろりお | 作成日時：2019年8月17日 22時
