Episode151 ／ 資格って何？ ページ2
部屋を出るとちょうど隣の部屋からゴンが出てきた。
『ゴ…』
呼び止めようとしたが、ゴンはかなり怒っているらしくその目に私は映っていなかった。
ゴンが他の受験者たちがいる部屋の前に立ち、音を立てて扉を開けた。
イルミ以外の目線がゴンにいき、そしてその後ろにいる私にもくる。
ゴンはずかずかとイルミの元へ歩いていった。
｢キルアにあやまれ｣
静かな、怒りを含んだ声は静まり返った室内によく響いた。
｢あやまる…？何を？｣
本当に分からないとでも言うようなイルミの態度にゴンは戸惑った。
そんなことも分からないの？と。
｢お前に兄貴の資格はないよ｣
｢兄弟に資格がいるのかな？｣
ゴンはイルミの腕を掴んで引っ張った。
あ、イルミが驚いてる…！
普段全くと言っていいほど表情が変わらないイルミが目を見開いている。
それに…ゴンが腕を折った。
思わず身体が動くのを理性で止める。
イルミは…血は繋がってなくても兄妹だ。
イルミだって暗殺家業の呪縛に囚われている一人。今回のことはイルミだけが悪いとは思えない。
でも、ここでゴンを止めるのは違う気がした。
少し考え事をしている間に話はだいぶ進んでいたようで。
｢不自然な点ならAの試合もだぜ。｣
『…私？』
急にポックルに話しかけられて首を傾げる。
｢試合中のあんたは確かに二人いた。武器はありだとしても二対一は反則じゃないか？あれはなんだったんだ？｣
やっぱり迂闊にテルを出しちゃだめだな…誤魔化すのが大変だ。
それに…ネテロさんとか念能力者は念だと思ってるだろうしなー。めんどくさい。
『あなたに話す必要ないと思うんだよね。それに、私であることに変わらないし、反則じゃないと思うんだ。』
｢Aと私の合格が不自然と言うなら不戦勝での合格も自然とはいえないな。｣
クラピカが私を庇って言った言葉に、ポックルは悔しそうに歯を噛み締めた。
その時だった。
｢どうだっていいんだそんなこと｣
たいして大きくもないはずのその声はよく聞こえた。
合格が不満なら自分で満足するまで精進すればいい。
キルアなら来年受験すれば合格する。
ゴンはそう言いきった。
｢それより、今まで望まないキルアや……Aに無理やり人殺しさせてたのならお前を許さない。｣
ちゃんと私の名前も入ってることに少し嬉しく感じてしまう。
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作者名：ろりお | 作成日時：2019年8月17日 22時
