Episode150 ／ 兄弟の問題 ページ1
『はぁ…』
着替えたばっかなのになー…と自分の今の服装を見て嘆く。
腕の傷は既に治ったのに、また新しい傷が増えた。
私は人より数十倍自己治癒力が高いだけだから、傷が消えるわけではない。
傷跡が残るのは嬉しくない。
血は未だに流れていて、段々と意識が朦朧としてきた。
『テールー助けてー』
冗談半分で言ってみれば、テルは私を抱えてホテルへ戻ろうとした。
『あ、待ってまだ戻りたくない。とりあえず血落としたいよー』
『はぁ…もっと自分を大事にしろよ。私にまで影響来てるんだけど。』
ぶつぶつ文句を言いながらも、水道がある場所まで運んでくれてそのまま血を洗い流してくれた。
『もうやだなー……いつまでもアイツらに縛られ続けてる感じ。』
テルは黙って何も言わなかった。
テルは自分自身のことを異質、私を本質って言うけど違う気がする。
テルはテルで本質だと思う。
私の性格か複数あるのは知っているが、ぶっちゃけ人格はテルだけで。
テルの意思は私の意思ではない。
なにか、別次元のもののようなテル。
でも、私が一番安心する温かさをもっている。
『テルー、いつもありがとー』
少し顔を赤くしながらテルは顔を背ける。
『…血、足りてないんだから寝てろよ』
『ははっ、そーするよ』
テルは私を、建物の影に下ろすと隣に同じように座った。
二人で丸くなって眠った。
私が目を覚ました時、隣にテルはいなかった。
それどころか、見知らぬ場所のベッドの上に私は寝かされていた。
｢起きた？｣
『…メンチ。私と同じ背格好の子みなかった？』
ガチャと扉を開けて入ってきたのはメンチ。
｢…？見てないわよ？…というかあなた、あんな所で寝てるなんて。死んでもおかしくないわよ？｣
『…ははっ、大丈夫だよ。試験は？』
メンチは言いにくそうに顔を伏せて言った。
｢もう終わったわ…。99番が反則負けで、ね。｣
99番……キルが？
あ、
｢301番と99番が兄弟だったみたいよ｣『イルミか』
私とメンチの声が被った。
もしかしなくても、イルミがキルに何か言ったんだろう。
イルミはキル大好きだから。
『他の人は？』
｢405番以外は他の部屋で講習を受けてるわ｣
『そっか、ありがとうメンチ』
ベッドを降り、部屋を出ようとすると焦ったような声が聞こえた。
｢あなたもう起きて大丈夫なの？｣
『だいじょーぶなの』
メンチの口調を真似て言えば、呆れたようにため息をつかれた。
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作者名：ろりお | 作成日時：2019年8月17日 22時
