Episode108 / 詐欺師と奇術師 ページ9
「なあ、Aはなんでハンターに?」
『ん?どうしたの急に!』
唐突に話を振られたと思えば、キルに話聞いてなかったお前が悪い、と何故か頭を叩かれる。
結構痛い…
『私はねー、親がハンター目指してたらしいってのと、仇討ちかな』
「ゴンと似てんな」
『そうなんだよねー』
仇討ち、に突っ込まないでくれたキルに少し安心する。
なんて答えればいいか分からないし。
「見ろ!!出口だ!」
後ろを走る人の中から聞こえてくる声に、みんなのスピードが少し上がる。
『いぇーい出口だ!』
最後の一段を大きくジャンプして乗り越える。
すぐ前に立っていたサトツさんにぶつかってしまったが。
『…ごめんなさいサトツさん』
「いえいえ。Aさんこそ大丈夫ですか?」
『もちろんです!でも疲れました…』
体力的には問題ないんだけど、精神的に
そうは見えませんけどねぇ。
サトツが目を細めてAを見ていることを、彼女は知らない。
「な、なんだ…ここ…」
受験者のひとりがぽつりと零す。
周りには何があるんだろう。
「ヌメーレ湿原、通称 “詐欺師の塒” 」
あちらこちらから、動物か魔獣かの鳴き声が聞こえる…。
相当やばい場所なのかなー
なにか、説明をしていたサトツさんは、声を険しくして
「騙されると死にますよ?」
と不吉なことを言った。
その刹那、
「ウソだ!!そいつはウソをついている!」
どこからかそんな声が聞こえてきた。
周りの受験者たちは、ざわざわしはじめる。
え、さっき騙されるなって言われたばっかりでは…?
え?
レオリオまで…
『…みんな馬鹿だ…』
サトツさんがいかに、偽物であるかを語っていた男にしゅぱっとなにかが刺さった音がした。
その、なにか、は私とサトツさんの元にも。
服に忍ばせているベンズナイフをくるりと回して、飛んできた3枚のカードをたたき落とした。
なんで私にまで飛ばすのかな、ヒソカ
「これで決定♦そっちが本物だね♥」
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作者名:ろりお | 作成日時:2019年8月4日 10時