Episode58 ／ 癒すことは出来ても ページ9
フェイタンの暖かさに寝てしまっていたらしい。
微かに臭う焦げ臭さと血の匂いに目が覚めた。
隣を見れば、フェイも寝ていて不覚にも可愛いと思ってしまった。
周りを見ると、何人かの団員はおそらく部屋に戻ったのだろう、姿が見えなかった。
そこで私は目を見張った。
『…っ団長！その腕っ…』
団長に駆け寄る、が団長に突き飛ばされた。
｢…なんでもない。気にするな。｣
『…っねぇ！なんで？それ私がやったの？……答えてよ！』
何も言わずに去ろうとする団長に怒鳴る。
それでも団長は答えずにホールを出ようとした。
その姿が、よく夢に見る両親の姿に重なった。
毎晩毎晩、夢に現れては私を置いていなくなってしまう。まるで、私から逃げるように…
『…ぅっ……団長ぉ…置いてかないで…1人に…しないで…』
堪えていたものが目からぽろぽろと溢れ出し、目隠しの布をじわじわと濡らす。
なんでだろ、最近涙腺が弱くて困る。
みんなと出会うまで泣いたことなんて無かったのに。
団長は振り向いてもくれない。
私はそこで崩れ落ちた。足が竦んで動けない、まるで夢のように。
『…うっ…もうやだ…』
しゃくりあげながら、ひたすらに泣き続けるAを団員達は静かに見守る。
彼らが動かない理由は…団長を信じていたから。
その時、ふわっと何かに包み込まれた。
｢…俺が悪かった。だから泣くな…｣
それが団長だと理解するのに時間はかからなかった。
団長にしがみついて泣いた。団長はその間も、痛いであろう手で撫でてくれた。
そんなことにも気づかずに、団長が戻ってきたことに安堵してただ泣き続けた。
『…団長…ごめんなさい』
ようやく泣き止んだ私は、赤く腫れぼったい目で見えない団長の方を向いた。
Aが団長がいる方向と逆を見ていること、それは彼女の同様をも表していた。
『…腕治させて』
そう言うと私の目の前には具現化したピアノが現れる。
弾く音を間違えれば私が死ぬ。そういう制約と誓約をかけている分、回復力は高い能力。
まあ傷の大きさによっては、私のなにかを奪われるんだけど。
このくらいなら体力くらいかな。
『
一音一音正確に、そして団長にしか聞こえない程度の音で弾いていく。
今の私は強化系。相手の回復力を強化して回復を早める。
目隠ししててよかった…きっと今の私の目の色は“ピンク”だから。
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k.k - 一人目の弟子……カイト？ (2020年10月5日 17時) (
レス) id: db3fbbd863 (このIDを非表示/違反報告)
あやは(プロフ) - 美桜琉さん» コメントありがとうございます！読者様の反応が気になっていたので凄く嬉しいです笑モチベ上がります！頑張りますね~ (2019年8月2日 18時) (レス) id: df4b2b1b15 (このIDを非表示/違反報告)
美桜琉(プロフ) - ほんっとうに面白いです、、、これからも更新頑張って下さい！ (2019年8月2日 18時) (レス) id: 95c48d4791 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ろりお | 作成日時：2019年7月21日 8時
