第二十八話 ページ29
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蝶屋敷での柱合会議から一月
柱はAを探した。
でも、
Aが柱の前に姿を現すことは無かった。
**
「御館様、Aの居場所を知っていれば教えて頂けないでしょうか。」
「…すまないね、無一郎。Aとは文のやり取りをしてはいるけど、場所は分からないんだ。」
産屋敷邸での報告の後、時透は産屋敷にそう尋ねた。
「鴉は…」
「鴨丸はAが幼い時から一緒に過ごしていてね…Aの言うこと以外聞かないんだよ。いくら私が場所を聞いても、教えてくれない」
産屋敷のその言葉に、時透は息を飲んだ。
鎹鴉は最終選別を抜けた者だけに付けられるもの。
Aが幼子の時についていた鴉が、鎹鴉になっていたことに驚いたのだ。
さらに、産屋敷にも情報を渡さないほどの信頼関係。
Aの生い立ちを知らない時透、否、他の柱にはそんなことがあるものか、と信じ難い事だった。
「無一郎」
Aを見つけられない、と焦りを滲ませる時透に産屋敷が声をかけた。
「任務には行っているし、叶美も一緒にいる。少しの間、好きにさせてあげてくれないかい?」
「…御意」
浮かない足取りで、時透は他の柱へ報告に向かった。
**
「あ〜!無一郎くんっ!」
「誰、君」
御館様の屋敷を出て、歩いていたら後ろから間延びしすぎな声が聞こえてきた。
……鳥肌たった。
振り返ってみるけど、誰か分からない
「えぇ酷い!私、植柱の日天叶美だよぉ?」
こんな人が柱?
…柱はなんとなくだけど覚えてるけどな、こんな人知らない
「何か用?急いでるんだけど」
早く、Aのことを他の柱に伝えたい
もう一月も会ってないんだ、そろそろ俺が耐えれない
「一緒に甘味処に行こうよ〜っ!」
いちいち伸ばすなよ、話聞いてないのかな
なんか、この人と話してるとイライラする
もう話すのも顔を見るのも嫌で、僕はそのまま踵を返して走った。
…柱なら後をついてくるか
なんて心配したけど杞憂に終わる
あの人にそんな体力なさそうだし
「…ちっ……やっと邪魔な女を柱から離したってのに…。まぁいいわ、他の人でも。柱の殿方はみんな極上だもの」
悪女は微笑む
水面下で火花は散らされていた。
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廣岡唯 - みさにしましたよ (11月15日 14時) (レス) @page15 id: 4e412208c6 (このIDを非表示/違反報告)
漓流芭 - 悪女を 無粋実(ぶすみ)にしました WW草越えて土WW (7月11日 0時) (レス) @page50 id: 7a2db06ea4 (このIDを非表示/違反報告)
悠 - 私、悪女の名前「悠魔(ゆうま)にしました!でもなんかこの名前嫌だったので変えました〜 (2022年8月10日 10時) (レス) @page4 id: 4fd94a1d21 (このIDを非表示/違反報告)
リータ一 - 悪女の名前を饒舌留 生五味(しゃべる なまごみ)にしたWW (2022年5月13日 19時) (レス) id: 52c0e09012 (このIDを非表示/違反報告)
ラト - え?まって十三話のやつ、冨岡さん...かっこいいかよッ!!!((←そこじゃないだろ))私悪女の名前“琉涅”(るね)にしたけど途中から自分でもなんて読むのかわからんくなったww (2020年10月31日 20時) (レス) id: 8c4c38e0a5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ろりお | 作成日時:2020年2月1日 12時