Daily Life~赤~

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熱い頬を冷ましながら
ふう……とため息をついて歩き出すと、
後ろからポン、と肩を叩かれる。





振り向くと、そこにはさっき
小銭を拾ってくれたおじさんが
立っていた。




驚きながらも「あ……先ほどはどうも」
とお礼を言うと、相手は笑いながら
「おつかい？若いのにえらいねぇ」
と言った。





「でも、ダメだよ？
女の子が一人でなんて。もう暗くなるし……」




「……そうですね、もう帰ります」




なんかこの人から黒いオーラが
見える気がする。




あれか。不審者的な人か。




いや、勝手に決めつけるのはさすがに
よくな……



「送っていってあげようか」




んん……？もしかしたらこの人、
ガチかな。



ニタァ、と笑う相手に、
夏なのに少し背筋が凍る。



「あのっ……いえ、結構です」



「ダメだって。この辺物騒だしさぁ」



あなたの方がよっぽど物騒では……
という言葉を飲み込んで、
「いえ、急いでるんで。では」
と極力冷静に返すと、
回れ右をしてはや歩きで去る。





しばらく歩いていると、
後ろからコツコツ、と早い足音が
聞こえてきた。



「ひっ……！」



本気で怖くなってきて、
ダッシュに切り替えた。




家に帰ったら場所がばれちゃうから……
交番だ、交番行こう。



意外と冷静な頭で考えると、
回り角を駆使してなんとか走る。



恐怖と疲れで一気に口のなかが
渇く。




五回目の角を曲がると、
見慣れたオアシスのような
後ろ姿が目に入って、
すがるように抱きついた。




「っ大毅……！」

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