Daily Life~赤~

喫茶店 ページ25

「……五ヶ月？」



「え、うん」




クーラーがよく効いた喫茶店。



夏休みに入った私は、朝の課外の後に
友達二人とやって来た。




女子が集まると運命と言うべきか、
それとも私だけリア充だからか、
そこでは見事に恋愛話が始まり。




キスはしたか、との質問に
してない、と。




付き合ってどのくらいか、との質問に
五ヶ月だ、と。



そう答えると、友達の眉間に寄る皺は
徐々に増えていった。




「なに、二人してチェリーなわけ」



「いや、絶対ない。大毅はない」




手は普通に繋いでくるし、
前触れなく抱き締められるし。




大毅は意外と愛情表現してくれてる
方だと思う。





いやでも……キスされない、ってことは
やっぱり奥手なのかな。



もしかしたら私に魅力がない、
ってことも考えられるかも。




テーブルの上で波紋を描く
アイスココアの水面を意味もなく
眺めるも、真相は分からない。




「じゃあなんで五ヶ月も放置されて
んのよ」



「うん、今考えてる」



「それで？」



「私に魅力がないのかと」



「なるほどね」



「肯定するんだ笑」




肯定したことがよほど面白かったのか、
さっきまでかき氷を食べていた
もう一人の友達がツボにはまった。



大きな口をあけて笑う姿が
なんとなく大毅と重なる。




「じゃあ、Aから仕掛けたら？」



「仕掛けるって……キャラじゃないし」



「恋愛にキャラなんてない！」



「名言？笑」




なにやら熱く語る人がいれば
まだ爆笑している人もいて。




そんなカオス空間に、ポキポキ、と
LINEの音が鳴り響いた。

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