44ラバー(加筆修正済) ページ45
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二人で歩いて約10分。役場について、書類を提出する。
「おめでとうございます」と役場の職員さんに言われて、何だか気恥ずかしくて二人で顔を見合して笑った。
『…なんかあっけないね』
『こんなもんだろ』
『夢がないなぁ』
役場の出口を見据えた。何の変哲もないただの自動ドアが、今日だけは特別なものに見えてしまう。
ここを出たら、もう今までとは違う。
恋人じゃなくなる。
…夫婦に、なる。
『ねえ、消太くん』
出口まで数メートル、不意に立ち止まった私に、どうしたと振り返った彼。
ここを出る前にどうしても言っておきたいことがあった。
『……私と結婚してくれてありがとう』
夫婦になってくれてありがとう、
たくさんの愛をくれてありがとう、
私に幸せを教えてくれて、ありがとう。
沢山のありがとうと、そして愛を紡ぐ。
少しだけ目を見開いた彼は、やがて困ったように笑う。
｢…行くぞ｣、と私の言葉に何も答えてくれやしなかったけれど。
ぎゅっと繋がれたその手が、そんなもの語る必要ないと教えてくれた。
ゆっくりと歩いて、外に出ると軽く吹いた夜風に身を縮こまらせる。
今日の夜は雲がかかっていて、月も星も、見えやしなかったけれど。
隣に貴方がいるだけでこんなにも世界は美しい。
あの頃、必死に生きていた私は、こんなに好きな人が出来るだなんて思ってもみなくて、好きな人に好きだと言える奇跡がこんなにも身を焦がすだなんて思ってもみなかった。
これを言ったら、今更何をと笑われるだろうか。
それでも、貴方に伝えたいと思うのは、私のエゴだろうか。
だけど、そんな私の自分勝手な自己満足を、今日だけは受け止めて、抱きしめて欲しいと思うのだ。
ねえ、
彼はまた私の顔を見る。
『好きだよ』
思わず、そう呟いた声が夜に溶けて、しっとりと余韻を残して消えた。
隣の彼は相も変わらずなんの言葉も返すことはなく、ただ、少し目を伏せて静かに笑うのだった。
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トマトまと(プロフ) - 続き→ちゃんと、プロポーズは彼からでしたね。主ちゃんの願いが叶って良かったです。最後に、ayaさんの文章の書き方、読みやすく、面白く、最高でした！素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました！！ (2022年11月20日 10時) (
レス) id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 完結おめでとうございます！プロローグとエピローグの違いにほんわかしました。主ちゃんの行動、相澤先生の考え、ミッドナイト先生の話、上鳴くんの恋心、沢山の人物によってこの物語が完成していて、読んでいてとても楽しかったです！ (2022年11月20日 10時) (レス) @page47 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - ぱりぱり。さん» 感情の変化や、言葉選びには殊更気を使って書いていたのでそこを汲み取っていただけて本当に嬉しいです泣書いてよかったと思いました、、、最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました！！！ (2021年6月13日 22時) (レス) id: 13840754e4 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 27さん» 大好物！！良かったです！！笑こちらこそ最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました！！また何処かで見かけたらよろしくお願いします！ (2021年6月13日 22時) (レス) id: 13840754e4 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 柊さん» 最後まで丁寧に読んでくださって、本当にありがとうございます泣ほっこり、していただけて良かったです、安心しました！！本当に最後までお付き合いいただきありがとうございました！！ (2021年6月13日 22時) (レス) id: 13840754e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aya | 作成日時：2021年1月10日 23時
