23ラバー ページ24
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『…俺は、彼奴と籍をいれるつもりはない』
その言葉を廊下で聞いた瞬間、「今日のお昼は何食べよう」だとか「午後はカルテをまとめよう」だとか、そういう考えは全て吹き飛んで。
ただただ、足がすくんだ。
一つの部屋に掲げられているプレートには「資料室」と書いてあり、その中から聞こえるのは彼氏である消太くんの声と、同僚の山田の声に違いなかった。
そして先程の発言は紛れもなく、消太くんのものであり、彼の言う“彼奴”とは間違いなく私自身のことなのだろう。
きっと今、誰かが私の顔を見たら、大層びっくりして医者に行くことを進めるに違いない。もう初夏も近いというのに、私の唇はわなわなと震えて、手足には血が行き届いていないのか、完全に冷え切ってしまっている、感覚はなかった。顔面蒼白とはまさにこのこと。
胸が痛いくらいにどくどくと収縮していて、こんなにも心臓は活発に動いてくれているのに、息苦しい。私は水槽から顔を出した金魚のように情けない顔でぱくぱくと口を開け、酸素を欲した。
聞いてはいけないことを、聞いてしまった、…のだと思う。
ずっと知りたいと思っていた彼の本心を、まさかこんな形で知ることになるなんて思いもしなかった。
そして、彼の本心は私の気持ちとは全然違う方向を向いていたのだということに、気づかされてしまったのだ。
ふ、と足が動き出す。先ほどまで動けと念じてもぴくりともしなかった両足はただ、その場から離れるために来た道を引き返し始める。
昼食の時間であることも関係してか、生徒がわいわいと楽しそうに歩いていた。
「かおちゃん先生、こんにちは」という言葉に苦笑いしながら「こんにちは」と返すと、見慣れた保健室というプレートにぴんと張りつめていた気持ちが緩む。
がらっとドアを開けて中に入ると、そこには誰もいなくて、どっと安堵の息を吐くと、座りなれたデスクチェアに座る。
誰もいなくてよかったと本心から思う。
今生徒が来たとしても、情けないことにいつもみたいに笑っていられる自信がなかった。
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トマトまと(プロフ) - 続き→ちゃんと、プロポーズは彼からでしたね。主ちゃんの願いが叶って良かったです。最後に、ayaさんの文章の書き方、読みやすく、面白く、最高でした！素敵な作品を読ませていただき、ありがとうございました！！ (2022年11月20日 10時) (
レス) id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
トマトまと(プロフ) - 完結おめでとうございます！プロローグとエピローグの違いにほんわかしました。主ちゃんの行動、相澤先生の考え、ミッドナイト先生の話、上鳴くんの恋心、沢山の人物によってこの物語が完成していて、読んでいてとても楽しかったです！ (2022年11月20日 10時) (レス) @page47 id: 1d9d2ab89b (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - ぱりぱり。さん» 感情の変化や、言葉選びには殊更気を使って書いていたのでそこを汲み取っていただけて本当に嬉しいです泣書いてよかったと思いました、、、最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました！！！ (2021年6月13日 22時) (レス) id: 13840754e4 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 27さん» 大好物！！良かったです！！笑こちらこそ最後までお付き合いいただき、本当にありがとうございました！！また何処かで見かけたらよろしくお願いします！ (2021年6月13日 22時) (レス) id: 13840754e4 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 柊さん» 最後まで丁寧に読んでくださって、本当にありがとうございます泣ほっこり、していただけて良かったです、安心しました！！本当に最後までお付き合いいただきありがとうございました！！ (2021年6月13日 22時) (レス) id: 13840754e4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aya | 作成日時：2021年1月10日 23時
