久しぶり ページ16
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
次の日も、その次の日も。
又その次の日も。
教室のドアが音をたてるたびに体をびくりと硬直させた上鳴であったが。
彼女が登校したのは、あの日から丁度一週間がたったころだった。
『あ、A！！』
『もう大丈夫なの？』
『うん、ごめんね。心配かけて』
「ほんとだよ〜」という女子の声にばっと振り返る。教室の前のドアには芦戸から抱き着かれて苦笑する、彼女の姿。
…その姿にほっとした。
途中から、彼女が登校しないのは自分のせいなのではないかという疑念を胸に抱き始めていたのだ。
いや、実際はそうだったのかもしれないけれど。…
『(…来てくれて良かった、)』
久しぶりに聞く彼女の声と、久しぶりに見る彼女の顔。
思わずじっと見つめていると
『…っ！』
不意に目が合って、びくりと体を強張らせる、…視線を逸らせないでいると彼女の方からほんの少しだけ気まずそうに目線が外されて。
ずきん、と柄にもなく胸の奥が痛む。
『(…まぁ、そりゃそうだ、)』
上鳴も、すっと視線を外し、彼女から間反対。窓際の方をひたすらに見た。
…ああ、やっぱり言わなければ良かった、
ーーーだなんて。
『(…何処までカッコ悪いんだ、俺は。)』
机の上に突っ伏すと、もうこのまま小さくなって、消えてしまいたいと切に願った。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
『わー、降って来たあ…』
放課後。
クラスの中に残っているのは掃除当番の数名だけ、勿論上鳴もその一人だった。
箒を持って窓の外を見た芦戸は煩わしそうに呟いた。「傘持ってないよー」という声も追って聞こえる。
『あー、今日天気予報微妙だったもんなぁ、上鳴。お前持ってる？』
『俺が持ってると思う？』
『わり、聞く相手間違えた』
「おーい、尾白―持ってる？」「傘？持ってるよ」なんて会話を聞きながら、ちょっとは否定してくれてもいいんじゃないかと思うが切島にはもうそんな言葉届かないだろう。
箒を手に持って、その柄に顎をつく。
すると、
『…あれ、』
ぽつり、零された声に上鳴は振り向いた。
その声の主は又しても芦戸で、今度も窓の外を驚いたような顔で凝視している。
『何かあったのか？』
『いや、あれ…』
切島がその声に反応して窓際による、上鳴も聞こえてはいたがそこまで興味はなかった。
ーーー次の言葉を聞くまでは
『あれ、Aと轟じゃない？』
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 806人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
無気力に自信が有る人 - 続きがあるようで無い終わり方……？君○代みたいに。更新してもらいたいですね。面白くて大好きな作品なんで！恐らく更新してない期間が１ヶ月以上続いたんですよね。それで、、、。せめて更新停止だったら希望があるんですが。 (2022年2月8日 0時) (
レス) @page23 id: 19b8beddf0 (このIDを非表示/違反報告)
ふぬ - これで終わりはないわwww (2022年1月16日 2時) (レス) @page23 id: 2680fe3345 (このIDを非表示/違反報告)
上鳴とりあ@個性:帯電と宝石(プロフ) - 続き気になります…とても面白いです！ (2021年7月8日 0時) (レス) id: 49f19b8511 (このIDを非表示/違反報告)
兎斗(プロフ) - え、お、終わり…？ですか…？続きが気になりすぎます…どうか更新してください…！！ (2021年7月4日 20時) (レス) id: d97bb948a4 (このIDを非表示/違反報告)
ミツキmitsuki(プロフ) - これで終わったら悲しい‥‥ (2021年7月4日 17時) (レス) id: 75866be232 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：aya | 作成日時：2020年6月28日 20時
