家入硝子の休息 ページ8
「う〜ん、」
清宮Aは悩んでいた。その悩みの種は個性の殴り合い、大乱闘スマッシュブラザーズ状態である高専の生徒に関するものでも、教員に関するものでもなく。
「お昼は、紅茶と珈琲どっちにしようかしら」
目の前にあるのは今朝コンビニで購入したサンドイッチ。仕事にかまけていたらすっかりお昼の時間を忘れてしまっていて、もう時は午後3時。所謂おやつの時間に彼女は漸く昼食をとる。
――珈琲はサンドイッチの食べ合わせとしては定番よね。喫茶店でもよく見るし、今後の眠気対策にもなるわあ。脂肪燃焼作用もあるらしいし、ダイエットにいいかも。
でもでも、昨日買ったばかりのラデュレの紅茶も試してみたいわ。お茶だから合わないわけは無いのよ。そもそもサンドイッチって英国の食べ物よね。
かれこれ10分は迷っている。ウンウン唸り声をあげ続け遂に清宮はぱっと、目を見開いた。決めた。今日は紅茶にしよう。
テ・マリー・アントワネット。有名なその可愛らしいパッケージに惚れ惚れしていると、カウンセリング室のドアが開いた。
「A〜。いる?」
「あら!硝子ちゃん〜!」
同じ白衣に身を包んだ家入硝子がよ、と片手を挙げた。清宮は頬を挙げて笑う。家入に会うのは久しぶりだった。それは家入が貴重な反転術式の使い手で、多方面から引く手数多な多忙人だからだ。
カウンセリング室に入ってきた彼女の手にはコンビニのビニール袋が握られている。
「もしかして、硝子ちゃんもお昼まだかしら?」
「うん。Aも?ちょうど良かった。一緒に食べよ」
その誘いに、清宮は満面の笑みで頷いた。
***
「それにしても硝子ちゃん、またあんまり眠れてないんじゃない?」
ラデュレの紅茶を淹れながら振り返った彼女は、家入の目の下に張り付いている酷いクマを見て告げる。
ソファにだら、と体をのせた家入は、まあな〜、と軽く呟いた。
「お仕事やっぱり忙しいのね」
「まあ、否定はしないよ」
「代わってあげたいわ…私のセンスじゃ無理だけど」
反転術式を使うのにはかなりの呪力操作の緻密さが求められる。何でもあの最強を謳われる五条悟でさえ、これに関しては感覚を掴むのに時間が掛かったのだ。反転術式の使い手が重宝されるのはそういう訳であり、それが他人にも施せるとなるとその使い手は数える程しかいなくなる。
家入硝子の忙しさは、特級の五条、夏油に匹敵する。
1261人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「呪術廻戦」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
chiaki0708(プロフ) - 恵くんの恋を応援し隊 そして高専時代の五条さんの口の悪さ最高笑笑いってる姿が想像付きます笑笑 (2022年1月18日 18時) (レス) @page50 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
mari(プロフ) - 尊い、カウンセラー室の壁になりたいです。 (2021年12月28日 2時) (レス) @page49 id: e3d45e5295 (このIDを非表示/違反報告)
陽夏 - ほっこりしていて、素敵なお話ですネ!!読んでてほっこりしました! (2021年11月21日 17時) (レス) @page47 id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます!!続編でもよろしくお願いいたします! (2021年7月19日 21時) (レス) id: b35ce74133 (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 続編だとっ!これからも応援してます!頑張ってください(´∀`) (2021年7月17日 10時) (レス) id: 92699b37e3 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:aya | 作成日時:2021年7月3日 21時