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｢あらあ、恵くん。頭痛くなっちゃった？｣
アイスを食べながら、頭を抑える恵に、彼女はしゃがみこんで笑う。恵は小さい手で木のスプーンを握りしめて彼女を見た。大好きな人、傍にいるだけで安心出来る人だ。
｢いたい｣
｢そうねえ。アイスとか、かき氷とか。冷たいもの食べちゃうと痛くなることがあるのよ〜｣
恵は絶望した。アイスもかき氷も、この頭痛に耐えなければ食べられないのか。そんな彼の心中が分かったのか、彼女はくすくす笑って、｢ちょっと待っててね｣とキッチンに向かう。
使い慣れたその様子は、彼女が頻繁にここに通っていることを証明してくれた。
数分後、彼女が恵の元に戻ってくる。手にはポットと、マグカップ。何れも彼女が選んでくれたものだ。恵のマグカップは青。津美紀はピンク。
｢暖かいものをね、飲みながら食べたらいいのよ｣
青のマグカップに注がれていくのは、赤褐色の紅茶だった。恵は今まで、お茶といえば麦茶と緑茶くらいしか飲んだことがなかった。初めて見る色、匂い。
｢火傷しないようにね。｣
笑う彼女に頷いて、口元をカップの先に持って行った。ゴクリと喉を動かして、液体を運ぶ。じわりと広がる熱に、びくんと体が跳ねた。
｢…薄い｣
恵の言葉に清宮はあらあ！と驚いたように目を開く。
｢やだ、私また分量間違えちゃったかしら…最近紅茶にはまったんだけどね、良くやるのよ〜。ごめんなさいね、恵くん。また淹れてくるわ｣
慌てる彼女はポットを手に持った。立ち上がろうと、机に手をつくが、それを恵は小さな手で押えて制する。力こそ無かったが、そんな幼い子供の主張を見逃すほど清宮は愚鈍じゃなかった。
｢いい。これで、｣
｢え、でも、｣
｢十分、美味しいから。｣
マグカップの中身を飲み干した。薄いとは思ったが、彼女の気遣いを考えれば、気になることじゃない。頭の痛みもなくなった。
空になったカップを見せれば、彼女はあらと優しく笑う。
その白い手が伸びてきて、恵の頭をゆっくりと撫でた。
｢優しいのね。恵くん。｣
その優しい眼差しと、掌の温度が好きだった。ずっとここにいて欲しい、そう思った。ずっと一緒にいるにはどうしたらいいのか。
幼い恵にはまだよく分からなかったが、その小さな身体に宿った恋という名の炎は未だに枯れることなく、段々と大きくなっていた。
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chiaki0708(プロフ) - 恵くんの恋を応援し隊 そして高専時代の五条さんの口の悪さ最高笑笑いってる姿が想像付きます笑笑 (2022年1月18日 18時) (
レス) @page50 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
mari(プロフ) - 尊い、カウンセラー室の壁になりたいです。 (2021年12月28日 2時) (レス) @page49 id: e3d45e5295 (このIDを非表示/違反報告)
陽夏 - ほっこりしていて、素敵なお話ですネ!!読んでてほっこりしました! (2021年11月21日 17時) (レス) @page47 id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます！！続編でもよろしくお願いいたします！ (2021年7月19日 21時) (レス) id: b35ce74133 (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 続編だとっ！これからも応援してます！頑張ってください(´∀｀) (2021年7月17日 10時) (レス) id: 92699b37e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aya | 作成日時：2021年7月3日 21時
