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伏黒恵の親愛 ページ43

その日は、暑い夏の日だった。窓の外で蝉が鳴いていて、クーラーのない部屋の中で扇風機と睨めっこする日々。その日も、何時もと同じように、夏休みの宿題を終わらせたり、アイスを食べて過ごすはずだった。



違ったのは、珍しく来客があったということ。



「初めまして。私、悟くんの友達でね、清宮Aっていいます。恵くん、津美紀ちゃん、よろしくね」



真っ黒な夏に似つかわしくない、不審者スタイルの五条の隣で、初見の女性が微笑んだ。
それが、伏黒恵の清宮Aとの初めての出会いだった。



***


「あっっっつ〜…なあ、アイス、アイス買いに行かね?」

「…外出んのも面倒臭い、おい虎杖、買ってこいよ」

「なんで俺!?」

「お前が言い出したからだろ」




任務が終わった。1年生3人がかりの任務にしては、呪霊の等級も低く、簡単なものだった。誰がトドメを刺すかで揉めたくらいだ。最終的に、トドメは伏黒の玉犬(黒)が刺した。


伊地知の送迎によって高専に帰ってきたはいいものの、3人はその初夏の暑さにやられそうになっていた。共有スペースのソファに倒れ込み、自身の熱が冷めるのを待つ。


一向に冷めない。そんな状態を見計らって虎杖がアイスを買いに行こうと提案したのだが、釘崎が却下。高専から1番近いコンビニまでは徒歩30分ほどかかる。高専がクソ田舎にあるせいだ、と釘崎は毒を吐いた。



伏黒は目を瞑る。暑い暑いと騒ぐ二人を横目に、そんな騒ぐから暑くなんだよ、と静かにソファに座って熱が冷めるのを待った。





「あらあ。虎杖くん、釘崎さん、恵くん。任務終わり?」



鈴のような声がした。目を開けて、視線を横にずらせば、珍しく白衣に身を包んでいない清宮の姿があった。彼女も半袖だ、きっと暑かったのだろう。
身を包んでいる黒は、彼女の肌の白さを強調させた。



「やっほ〜清宮せんせ〜、今任務から帰ったとこ〜」

「先生も半袖?暑いわよね〜ほんと紫外線…やんなるわ…」



ぐでん、とソファに横たわる二人を見て彼女は目をぱちぱちさせる。その覇気のない声に、彼女は思わず伏黒の方を見た。伏黒は、静かに頭を下げる。




1年生3人の姿を見て、清宮は成程と、全てを察した。
にこりと笑うと、3人に声をかける。




「皆、今日もう予定がなかったら、カウンセリング室に遊びに来ない?アイスがあるのよ〜、悟くんに貰ったの」




暑さにかまけていた3人はその救いの言葉に大きく頷いた。

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chiaki0708(プロフ) - 恵くんの恋を応援し隊 そして高専時代の五条さんの口の悪さ最高笑笑いってる姿が想像付きます笑笑 (2022年1月18日 18時) (レス) @page50 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
mari(プロフ) - 尊い、カウンセラー室の壁になりたいです。 (2021年12月28日 2時) (レス) @page49 id: e3d45e5295 (このIDを非表示/違反報告)
陽夏 - ほっこりしていて、素敵なお話ですネ!!読んでてほっこりしました! (2021年11月21日 17時) (レス) @page47 id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます!!続編でもよろしくお願いいたします! (2021年7月19日 21時) (レス) id: b35ce74133 (このIDを非表示/違反報告)
- 続編だとっ!これからも応援してます!頑張ってください(´∀`) (2021年7月17日 10時) (レス) id: 92699b37e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aya | 作成日時:2021年7月3日 21時

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