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釘崎もそれなりに化粧品は集めているつもりだった。が、ここまでとなると、かなりのお金と時間が必要だなと清宮を見つめる。
｢釘崎さん、良かったらこれ。好きなの貰ってくれないかしら｣
｢え、悪いわよ。そんなの｣
清宮は首を横に振る。
｢集めても使えてないものばっかなの。だからどうせなら、使ってくれる人のところにいったほうが、化粧品だって幸せじゃない？｣
釘崎はゆっくり視線を落とし、目の前に広げられた化粧品の山を見た。1つ、パレットを取って開ける。1度か2度、使用した形跡が見られるが、それ以外は綺麗だ。マット系のテラコッタが締め色として使われているそれは、釘崎にとって、とても好みだった。
清宮を見上げる。彼女は嬉しそうに頷いた。
釘崎はそれを見て、頬を緩めると、矢継ぎ早に他のアイシャドウパレットにも手をかけていった。
***
｢先生って、ネイルカラーも色々集めてるのね｣
好みのアイシャドウを漁っていたら、小一時間ほど経ってしまった。マグカップに入った紅茶ももう温くなってしまって、それを喉の奥に押し込むと、彼女は｢おかわりは？｣と優しく問いかけてくれる。その問いに頷くと、又もや綺麗な透き通った赤褐色が目の前に現れた。
釘崎はマグカップの横で、ネイルの瓶を1列に並べていく。あの箱の中はアイシャドウやチークが圧倒的に多かったが、同じくらいに目を引いたのがそれだったのだ。
ピンクだけでもかなりの種類がある。マゼンタ、チェリーレッド、コーラル、…小さいネイルサロンなら開けそうなくらいの種類の豊富さだ。
清宮はああ、と笑って小瓶をとる。ピンクベージュのそれは、彼女にとても似合いそうだ。
｢可愛いから、集めちゃうんだけど…私凄く不器用なの。｣
｢へえ。意外だわ｣
｢そう？…だから、自分で自分の爪に塗れないのよ、宝の持ち腐れね。職場上、ジェルネイルは禁止だし、ネイルサロンには行けなくて。上の方に何か言われても嫌でしょう？｣
自分の爪を恨めしそうに見つめる彼女。
――そうか、まあ。教職ってのはやっぱり厳しいのか。…でもここのそーゆー規則ってあってないようなものなんじゃないの？
釘崎は彼女の爪を見た。綺麗な手入れをされている爪だ。同じ女だからこそ分かる。きっと、鑢で磨いて、削って、丁寧に整えられた爪だ。艶を見る限りオイルで保湿だってされているはず。
…彼女のその爪に綺麗な色がのったなら、きっと、もっと素敵だろうに。
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chiaki0708(プロフ) - 恵くんの恋を応援し隊 そして高専時代の五条さんの口の悪さ最高笑笑いってる姿が想像付きます笑笑 (2022年1月18日 18時) (
レス) @page50 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
mari(プロフ) - 尊い、カウンセラー室の壁になりたいです。 (2021年12月28日 2時) (レス) @page49 id: e3d45e5295 (このIDを非表示/違反報告)
陽夏 - ほっこりしていて、素敵なお話ですネ!!読んでてほっこりしました! (2021年11月21日 17時) (レス) @page47 id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます！！続編でもよろしくお願いいたします！ (2021年7月19日 21時) (レス) id: b35ce74133 (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 続編だとっ！これからも応援してます！頑張ってください(´∀｀) (2021年7月17日 10時) (レス) id: 92699b37e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：aya | 作成日時：2021年7月3日 21時
