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色々なことを思い出してしまった。
数年後、真希も彼女と同じように高専に入学することとなった。京都校にいる妹の真衣とは、現在も喧嘩中だ。此方から謝るつもりは毛頭ない。

でも、出来ることは限りなく増えていった。妹を守る手筈は着々と彼女の手中に増えた。



あの日、自分の運命を、価値観を変えた目の前の女を見つめた。数年前と全く変わらぬ笑顔で彼女はゆっくりと此方を見つめ、真希ちゃん、と呟いた。




「どうかしたの?」




ずっと黙り込んでいた真希を心配したのだろう。綺麗なコバルトブルーの瞳が揺れる。
真希はそれに対して軽く笑った。




「いや、そんなに本家からの誘い断って、目え付けられても知らねーぞ」




あら、と真希の発言に目をぱちくりさせる彼女。
次の瞬間くすくす笑いながら、もう手遅れね、と告げる。



「実家からも殆ど勘当されてる身だし、もう今更嫌われたって傷つかないわ」




カウンセラーになると、祖父に告げたあの日から彼女は実家に殆ど帰っていない。実家側もそれを望んでいるからか、何の言及もされない。そんな状況下に居るのだ。禪院に嫌われたって痛くも痒くもなかった。



真希もそれに合わせて笑う。自分も実家からセルフ勘当してきた身だ。似たような境遇に、賛同しざるを得ない。

そういえば、と清宮は白衣のポケットから携帯を取り出した。




「真衣ちゃんがね、今度東京に来るから一緒にパンケーキ食べに行かないかって」




真衣からのメールを見せながら、一緒にいかが?と真希に問うた。そのメールに軽く目を通すも、真希は首を横に振る。




「いいよ私は。2人で行ってきな。」




その返答に、そう?と悲しげに彼女は眉を下げる。




あの日食べたホットケーキの味を、忘れたことは無い。冷たいご飯しか食べたことのなかった自分たちにとって初めての温かい食事。甘くてふわふわで。何より皆で笑って食べるのが何よりも楽しくて。
…幸せだと、感じたのだ。



彼女は携帯を白衣にしまうと、うんと伸びをする。



「じゃあ、真希ちゃんとは一緒にホットケーキを作ろうかしら」



ふふふと笑って此方を振り返る彼女に少しだけ目を見開いた。




――嗚呼。彼女のこういうとこが、堪らなく好きだ。





「…いいな。野薔薇も誘うか」






いいわねえ!そう答えた彼女の声に2人で顔を見合わせて笑った。自分にも、仲間が出来た。切磋琢磨し合える、いい仲間だ。高専に来て良かったと改めてそう思ったのだ。

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chiaki0708(プロフ) - 恵くんの恋を応援し隊 そして高専時代の五条さんの口の悪さ最高笑笑いってる姿が想像付きます笑笑 (2022年1月18日 18時) (レス) @page50 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
mari(プロフ) - 尊い、カウンセラー室の壁になりたいです。 (2021年12月28日 2時) (レス) @page49 id: e3d45e5295 (このIDを非表示/違反報告)
陽夏 - ほっこりしていて、素敵なお話ですネ!!読んでてほっこりしました! (2021年11月21日 17時) (レス) @page47 id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます!!続編でもよろしくお願いいたします! (2021年7月19日 21時) (レス) id: b35ce74133 (このIDを非表示/違反報告)
- 続編だとっ!これからも応援してます!頑張ってください(´∀`) (2021年7月17日 10時) (レス) id: 92699b37e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aya | 作成日時:2021年7月3日 21時

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