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「今は違うの?」


真衣の質問に笑顔で頷いた。双子の手をぎゅっと握る。


「お爺様が、高専への入学を許可してくださって、そのおかげで沢山の仲間たちに出逢えたの。」



本当は高専何ぞ行かずに花嫁修業をするつもりだった。だが、嫁がせるなら最低限の教養と強さをという実家の方針から、彼女は東京都立呪術高等専門学校に通うことになる。



仲間の話をする、彼女のその声がなんとも言えないくらい嬉しそうで、真希は思わず清宮を見上げた。
高専。真希にも知識くらいはあった。呪術師を育成する教育機関。呪力のない自分には縁のないものだと思っていた。



「高専には色んな人がいるわ。とっても強い人、とっても優秀な人、とっても優しい人、とっても怖い人。」



彼女は月を見上げる。あの頃小さな身体でたった1人で見上げていた月とは違うものに見える。きっとそれは、彼女に生きる意味を教えてくれた仲間のおかげだ。




「皆が教えてくれたの。私の持ってる力を。全部纏めて肯定してくれたの。何度も、何度も。何もかも否定されてきた私のことを、皆は認めてくれたの」



相伝を引き継ぎながらも、才能の一欠片もない出来損ない。その言葉は彼女の身体の奥底にまで染み付いてしまっていた。簡単には拭いきれなかった。それでも、仲間たちは彼女に優しく笑いかけたのだ。君は凄いと、そう彼女の凝り固まった劣等感を解してくれたのだ。



だからね、と彼女は2人に抱きついた。




「こんな世界の、汚い大人達の否定の言葉に負けちゃだめよ。自分が、自分を否定しなければ、其れはいつかきっと自信になって返ってくるの。」




自分が自分を否定しなければ、真希はその言葉をゆっくりと咀嚼した。




「肯定するの。自分で、自分を認めてあげるの。そしたら、きっと誰にも負けない強さを手に入れられるわ。大丈夫。貴方達はとっても素敵な力持っているもの。」




その時見せた彼女の笑顔から、二人は目が離せなかった。キラキラしていた。そんな仲間に出逢えた彼女が羨ましかった。


自分も、高専に行けば何か変わるのだろうか。真希は人知れずそんなことを考えるようになる。自分にもなにか出来ることがあるだろうか。呪力も無い、呪霊も見えない。そんな自分が、目の前の妹を守ることが出来るだろうか。




彼女の手をゆっくりと握り返す。彼女もまた、真希の手を、真衣の手を握り返した。この温もりをずっと覚えておくために、真希は静かに目を瞑った。

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chiaki0708(プロフ) - 恵くんの恋を応援し隊 そして高専時代の五条さんの口の悪さ最高笑笑いってる姿が想像付きます笑笑 (2022年1月18日 18時) (レス) @page50 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
mari(プロフ) - 尊い、カウンセラー室の壁になりたいです。 (2021年12月28日 2時) (レス) @page49 id: e3d45e5295 (このIDを非表示/違反報告)
陽夏 - ほっこりしていて、素敵なお話ですネ!!読んでてほっこりしました! (2021年11月21日 17時) (レス) @page47 id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます!!続編でもよろしくお願いいたします! (2021年7月19日 21時) (レス) id: b35ce74133 (このIDを非表示/違反報告)
- 続編だとっ!これからも応援してます!頑張ってください(´∀`) (2021年7月17日 10時) (レス) id: 92699b37e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aya | 作成日時:2021年7月3日 21時

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