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地味な着物に身を包み、双子の前にしゃがみ込んだ一人の女を見て、真希と真衣は目をぱちくりさせた。

大きな垂れ目が特徴的なその女はにっこりと笑う。



「あらあ。貴方達、扇様のお嬢さん?噂通りそっくりねえ」



自分たちのことを知っているようだ。真希は真衣を守るように体を前に出した。
呪力の全くない自分。そして、相伝術式を引継ぐことの出来なかった双子の妹。そんな出来損ないと称される自分たちに普段から向く攻撃的な目は、彼女達の警戒心を煽った。




きっと、睨みつけるもその視線に気づかない女は嬉しそうに双子の前に腰を下ろす。




「はじめまして。私、清宮Aって言うの。よろしくね」




清宮。
その名前を聞いた瞬間、真希は大きく目を見開いたのだった。



――呪術界には御三家というものが存在する。最強、五条悟を有する五条家。格式と伝統を重んじる加茂家。そして、術式の禪院家。それぞれ牽制し合いながらこの世界の均衡を保っているのだが、その御三家にも夫々傘下というものが存在する。



清宮家は禪院家の傘下のうちの一つだ。
そんな清宮家の相伝術式は幻夢呪法。言葉の通り夢幻を見せ、相手を操り洗脳する力。



「…お前、出来損ないって言われてる清宮の娘か」



ぽろっと口から飛び出た言葉に清宮は目を少しだけ見開いた。隣にいた真衣は慌てたように真希の口を塞ぐ。



真希はじっと彼女を見つめた。どんな反応をするのか、単純に気になったからだ。怒るだろうか、それとも泣くだろうか。




「…うん、そうねえ。出来損ない、そう言われてるわあ」




予想に反して、彼女はその眉を少しだけ下げて笑った。
真希はあの日知らない男たちが廊下で話していた噂話をもう一度脳裏に浮かべる。



――「清宮家も堕ちたものだな。実の娘があれじゃあな」
――「全盛期だったあの頃の影もない。あんな娘じゃあ、どっかに嫁がせて胎にするしか使い道がないだろう」
――「落ちこぼれの娘を持って、大変だな。」



何処かで聞いたような謳い文句が、自分じゃない誰かに向けられてる。その時、真希はその人物に少しだけ同情した。そして、少しだけ親近感を抱いたのだ。



自分たちと同じ出来損ない。どんな奴だろうか。
そう思ったものの、簡単に出会う機会なぞ訪れない。もうすっかりその名前が頭の中から消え去ろうとしていた矢先。


彼女は自分たちの目の前に姿を現したのだった。

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chiaki0708(プロフ) - 恵くんの恋を応援し隊 そして高専時代の五条さんの口の悪さ最高笑笑いってる姿が想像付きます笑笑 (2022年1月18日 18時) (レス) @page50 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
mari(プロフ) - 尊い、カウンセラー室の壁になりたいです。 (2021年12月28日 2時) (レス) @page49 id: e3d45e5295 (このIDを非表示/違反報告)
陽夏 - ほっこりしていて、素敵なお話ですネ!!読んでてほっこりしました! (2021年11月21日 17時) (レス) @page47 id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます!!続編でもよろしくお願いいたします! (2021年7月19日 21時) (レス) id: b35ce74133 (このIDを非表示/違反報告)
- 続編だとっ!これからも応援してます!頑張ってください(´∀`) (2021年7月17日 10時) (レス) id: 92699b37e3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:aya | 作成日時:2021年7月3日 21時

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