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「美々子ちゃんと菜々子ちゃんから連絡があったのね、傑くん、最近お家に帰ってないんですって?」
嗚呼成程、そういうことか。と夏油は思った。
彼女の言う通り、夏油は連日の激務の影響で、ここ数日家に帰れていない。高専の職員寮を間借りして、死んだように眠る日々を送っていた。
娘の菜々子、美々子の顔も見れていない。美々子が時々自撮りの写真付きメールを送って来るくらいだろうか。もう、高校生だから多少なりとも大丈夫だとは思っているが、それでも家族の顔を直接見れないのは夏油にとってとても苦しいことで。
「任務が、忙しくてね」
「そう…大変よね。傑くん、ちゃんと眠れてるのかしら。確か、高専の寮のベッドは小さいって言ってたわよね」
夏油は身長が高い。ちゃんと計測したことは無いが、190くらいはあるだろう。それでいて、ガタイも良い。
彼が高専を卒業して、家を持ち、1番最初に大量の金を投資したのが、ベッドだった。身体を曲げることなく、リラックスした体勢で寝れるベッド。そのベッドもここ数日見ていない。
高専の小さいベッドで寝たとて、疲れが取れるわけもなし。
つまり、ここの所ずっと夏油は寝不足だった。
彼女の言葉に押し黙ってしまった夏油を見て、清宮はうんうんと頷く。
「そうだと思って。傑くんに提案があるのよ。」
「提案?」
彼女はぽんぽんと、自らの太腿を叩く。
「この前ね、硝子ちゃんが私の膝枕でよく眠れたって言ってたの。傑くんも良かったら、どうかしら。」
……。
聞き間違えだろうか。
夏油は一瞬、自分の耳が可笑しくなったのかと思った。彼女は依然としてにこにこ此方を伺っている。視線をゆっくりと下に向けると、彼女の柔らかそうな太腿が目に入って。
――何のご褒美なんだ???
夏油が何も言えずにいると、一体どうしたと言わんばかりに彼女は目をぱちくりさせる。夏油の虚無顔に気づいた清宮の顔色は段々影を帯びた。そして、彼女は改めて自分の発言を振り返った。
――もしかして私、余計なこと言っちゃったかしら。
よく考えてみれば、このソファも高専のベッドと同じくらい小さいのだ。家入は上手くフィットしたようだが、夏油にしてみれば団栗の背比べ。意味が無い提案だったろう。それに気づいた瞬間、清宮の顔は真っ青になる
「や、やだごめんなさい。傑くん」
「え?」
未だ彼女の魅惑の太腿に意識を奪われていると、彼女が真っ青な顔で此方を伺っている。
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chiaki0708(プロフ) - 恵くんの恋を応援し隊 そして高専時代の五条さんの口の悪さ最高笑笑いってる姿が想像付きます笑笑 (2022年1月18日 18時) (レス) @page50 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
mari(プロフ) - 尊い、カウンセラー室の壁になりたいです。 (2021年12月28日 2時) (レス) @page49 id: e3d45e5295 (このIDを非表示/違反報告)
陽夏 - ほっこりしていて、素敵なお話ですネ!!読んでてほっこりしました! (2021年11月21日 17時) (レス) @page47 id: 5a0f0dfb22 (このIDを非表示/違反報告)
aya(プロフ) - 楓さん» 楓さん、コメントありがとうございます!!続編でもよろしくお願いいたします! (2021年7月19日 21時) (レス) id: b35ce74133 (このIDを非表示/違反報告)
楓 - 続編だとっ!これからも応援してます!頑張ってください(´∀`) (2021年7月17日 10時) (レス) id: 92699b37e3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:aya | 作成日時:2021年7月3日 21時