18 ページ19
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
...本心、
俯いて、自分のスカートを見つめた。
...私は、彼のヒーロー姿が好きだった。
災害現場や、色んな現場で活躍する彼を見るのが好きだった。彼の姿をテレビで見ては、ほっとして、ああよかった元気にヒーローしてるって。
傷だらけの腕が好きだった。
その腕は、私じゃない誰かを護った証だけど、それでも彼が色んな人に感謝されるのを見るのが好きだった。
ポタリポタリと、不意を突かれて流れた涙はテーブルに小さな水溜まりを作る。
それを見たチャージズマが慌ててこちらに新品のおしぼりを渡してきた。
『それをさ、瀬呂が分かんないはずがないって、俺は思う』
「彼奴表情変わんないからなー、分かりにくいけど」とけらけら笑って。
きっと、様々な試練を共に超えてきた、彼だからこそ言えることで、それが少しだけ羨ましい。
『...ちゃんと、夢野ちゃんのこと好きだったと思うよ、彼奴は。』
私も、ヒーロー科に行けば何かが変わっただろうか。
彼と同じ立場で、同じ環境で、同じ夢を抱えて、ヒーローになれたら。
範太や、目の前のこの人みたいに、優しい人間になれたのだろうか。
『...ありがとう、ございます』
そんなに甘い世界ではないと、分かっているけど想像せずには居られなかった。
＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿
『すいません、送ってもらって』
『えー、いいよいいよ。俺から誘ったしさあ』
真っ暗い夜道を二人肩を並べて歩く。
先程泣いたせいか少しだけ頭が痛くて。でも気持ちはなんだかすっきりしていた。
「てかさ」とチャージズマが声をあげた
『敬語やめん?俺ら高校の同級生っしょ?』
『え、』
『ついでに、チャージズマさんってのもやめてよ、俺上鳴電気っていうの』
無邪気に、人懐っこい顔で笑うチャージズマを見つめて。
それにつられて私も笑う。
『...うん分かった、。えっと、上鳴くん』
『うわ、よそよそしい!電気でいいって』
『ええ、いや、ヒーローにそれは...』
『関係ないって、ね?Aちゃん?』
いつの間に私の下の名前を知ったのか、それは定かではないが嬉しそうにそう言われると、此方としても呼んであげたくなるもんで。
期待を込めた彼の瞳が私を捉えて離さない。
...うーん
『...電気、くん?』
口を開いて、恐る恐る彼の名を口にした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 530人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぽん - 好きすぎる。本当に好きです書いてくださってありがとうございます解釈一致すぎてもう一生瀬呂夢これしか読めない（；＿；）♡ (2023年1月21日 23時) (
レス) @page47 id: bfc2e6fd8d (このIDを非表示/違反報告)
マシュマロ - ぁぁぁぁぁぁぁぁ……見るの凄い遅れてますね……泣きました…なんか…良かったです……くっ付けて……瀬呂推しなんで心がヤバいですw (2022年2月13日 22時) (レス) @page47 id: bcf7c7e9de (このIDを非表示/違反報告)
りるまろ - 瀬呂に落ちた (2021年8月8日 11時) (レス) id: ee38c723d2 (このIDを非表示/違反報告)
菜一郎(プロフ) - 3回くらい泣きました…幸せをありがとうございます。瀬呂くん大好きです(TT) (2020年7月20日 13時) (レス) id: 2c549b1da3 (このIDを非表示/違反報告)
NAGI(プロフ) - ayaさん» やった(´∀｀*)ありがとうございます！ぜひ！ (2020年5月13日 8時) (レス) id: 8404e24904 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：aya | 作成日時：2020年4月30日 18時
