男の子を教えて。-Yuta Kishi-

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「連絡先…電車で、今度あったら俺から話しかけてみるわ」


神宮寺が後ろでぶーぶー言ってる紫耀を諌める



「岸くんばっかずるいー！俺も女子高生と知り合いたい！やっぱり行こ！学校まで！！」


迷惑になるからやめろって…



もう…



「紫耀から声掛けりゃいいじゃん」



「…あのね！俺の家知ってる？学校のすぐ近くなの！出会いもないよ！！」


んー！そうだったな…


紫耀の家、人とすれ違わないで学校に来れるレベルで近いんだった



「じゃあ…俺んちくる？めっちゃ近いよ、あの子の家と」





-＊-






「一週間前はあんなに興味無さそうにしてたのについて来てんじゃん、岸くん」


「…は！？…いやそれはさ！」




たぶん

たぶんだけどこの中でいちばん河野さんに近いのは俺だと思う


紫耀は会ってもないし


神宮寺には俺の名前聞くぐらいだから…




ちょっとは期待してもいいかも、？




だけどそう思ってると足元すくわれるって俺わかってんだよね



だから余裕なんてないし、着いてかなきゃじゃん




「やっぱ岸くんも気になってるんだよ…」


「ほんと…残念……俺もワンチャンあると思ったんだけどな…」



聞こえてるっつーの


「だーからまだそんなんじゃねぇって！」




そんな話をしていると駅に着いた


「あ、電車遅れてる」


「ほんとだ、うわ、20分遅れ！？何があったんだろ…」


放送で駅員さんが言うには、線路にちょっと異常があったらしい


しかも20分遅れだから違う電車に乗るはずの人も並び出して割と混み始めた



電車三本分の乗客が集まってしまったからふつうに人が多い



ん？

「…あれ！？」


「岸くん？」


定期がねぇ！




いつもブレザーに入ってるはずの定期入れがない


でも改札は通ったから、どっかで落とした？


「定期落としたかも、ちょっと探してくる！」


「え、あとちょっとで電車きちゃうよ…！」



「遅れたらあとひとつあとの電車で行く！先行ってて！」


うわー、どこで落としたんだろう


人も多いし探しにくいな…



下を見ながら改札の方まで歩いていると、電車の音が遠くから聞こえてくる

これは…乗れねぇかも…




その時視界の端に茶色の皮の定期入れが見えた気がして近寄ると



「あっった！！！」


急いで拾い上げてホームまで戻る


もうほとんど電車に乗客は乗ってしまっていて



俺も急いで飛び乗った

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