【HQ】ナルシストがーる４

ナルシスト度１７５* ページ41

研磨 side





事件が起こった。

最終日の朝、眠い目をこすりながら食堂に向かった俺らは、思わず目を見開いた。



「………」


「Aちゃん眠そうだねぇ」

「昨日、自主練につきっきりだったらしいよ」

「うわ〜おつかれ〜」

「ありがとう…ございます…」

「今にも寝そうなんだけど」



マネージャーたちの真ん中にいる湖咲、らしい人のことだった。

唖然としていた(見惚れてる奴もいたけど)俺らの中で、誰より早く口を開いたのはクロ。



「おい誰だあの美少女」



いつも生命力溢れてて、威風堂々としているAは、別人みたいに静かだった。

…ほんとに誰なの、アレ。




「ただのミステリアスな美人になってんだけど…」

「夜久くん、Aは元々美少女なんだよ」



あの濃いキャラのせいで、すっかり忘れていたが、こうしていると本当にただの美少女だ。



「うお！？誰だあいつ！！」

「木兎さん、気持ちはわかりますが抑えてください」


梟谷も驚いてるし、



「…俺、一瞬女神かと思った」

「龍、俺らには潔子さんがいるだろ！」

「わかってるんだ、でもっ…！」


「すげえ美人だな」

「顔面詐欺だべ」


「どうしよう日向俺の知らない湖咲がいる」

「ふぉお…」



烏野もあんな感じだし。



豹変ぶりが凄すぎる。


じっとAを見ていたせいで気づかれたのか、Aと目が合う。

いつもと違う、虚ろげな目に、少したじろぐ。



「研磨、」



「おい近づいてきたぞ！」

「どうすんだよ！」

「話しかけられてんの研磨な」



隣でコソコソと話しているクロたち。

うるさいんだけど。



「…何？」

「一緒にご飯食べない？」



下から覗き込むみたいに見つめられて、慌てて顔を下に向けた。

…心臓に悪い。




「……いいよ」

「じゃあ、日向たちも一緒に食べよう」

「んえっ、俺!?」

「え、何驚いてるの。いつものことじゃん」

「え、あ、そうだな！食べる！」



わかりやすく頰を染めた翔陽が先に席取りをしに行く。



「じゃね、クロ」

「お、おう。お前余裕だな…」

「…別に」



余裕、ね。

周りの人からはそう見えるんだ。




頰が熱くなっていることを感じながら、その張本人を見た。



「どしたの、研磨」

「…別に」





ああもう、なんで自分が照れてるのか。

わからなくて、むかつく。






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