速報！プロデュース科の問題児が全力疾走中！

問題児は膝を抱える ページ32

その後のことは、よく覚えていない。




ただ、その言葉を聞いた瞬間、頭が真っ白になった。



早く、真緒から逃げたくて。





気づいたら、演劇部室にいた。




アイドル科は学校だと女子に会う機会が全然ないし、もしかしたら私かもしれない。



そういう考えもあったけれど、「いる」と言った時の真緒の顔は、私ではない、遠くを見ている気がした。





恋している、と気づいたすぐ後に失恋なんて。





もっと早くこの感情の名前をつけられたなら。




真緒の好きな人は私だったのかな。





演劇部室の隅で、体育座りをして。



顔を埋めて泣いた。




泣いたのは、真緒と喧嘩したときぶりだ。



今思えば、あのときから真緒が好きだったのかもしれない。





ああ、ダメだ。




失恋したっていうのに、真緒のことばっかり考えるなんて。




声を上げずに泣いた。




そのとき、足音が聞こえた。



足音はだんだん近づいてくる。


間違いない、この演劇部室に向かっている。




練習も厳しい演劇部は部員が少ない。




部活がない日に来る人といえば、三人くらいだ。



渉さん



友也







ホッケー「…A？」






ホッケーぐらい。

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