19.ずっと昔から。 ページ20
ずっと昔からそうだった。
私が佐貫家の人間だとわかると、みんな気を使う。
くしゃみをすれば、ティッシュを差し出してくるし、
風邪を引いた、と言えば風邪薬かのど飴を持ってくる。
…私は偉くないのに。
偉いのは父であって私ではない。
それなのに、顔色を伺ってくる。
一言で言えば、不愉快。
だって、そうでしょう？
お金持ちになりたいのか、
貧乏になるのが嫌なのか知らないけれど、
どちらにしろ。
「気、遣わなくて良いですから。
バンバンこき使ってください。」
二宮さんは一瞬此方を向いて、
和「そう…」
とだけ言って視線を戻した、
と思ったら。
和「アナタ、Ｍだったのね。
くふ、分かりました。こき使います(笑)」
とからかってきた。
けど、この人なりの優しさなのだと気づき、のった。
「え、Ｍじゃないです！」
和「まぁまぁ、照れないの。」
「照れてません！」
しばらくコレが続くのかと思っていたら、
呆気なく終わった。
和「あ、運ぶの手伝ってくれる？」
「あ、はい！」
生徒会の皆さんにコーヒーを渡し、
その日はティータイムのみとし、
解散となった。
・
・
奏「お姉さま！」
「奏、ただいま帰ったわ。」
奏「それより！
生徒会の件、どうされたのですか！
お姉さまは応募していないじゃない！」
「えぇ、してないわ。
生徒会長さんも仰っていたでしょう？
必ずしも応募した人から選ぶ訳では無い、と。
私は忠告していたじゃない。
アナタも聴いていたわよね？」
奏「そ、それはそうですが…！」
「今日も疲れたのよ。
寝かせてもらえるかしら。」
奏「……はい。」
……奏は、本当に生徒会に入りたかったのだろう。
気の毒だけど、
私は何もしてあげれない。
それに、生徒会に入った私が慰めても、火に油を注ぐだけ。
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作者名：彩瑛 | 作成日時：2018年9月1日 16時
