24 ページ24
.
TH「じゃあ、やめちゃえば？」
私を突き放す彼のその言葉に体が震えた。
言葉を失って、思考が停止する。
「えっ…」
TH「俺はそこまで神経すり減らして仕事する必要ないと思う。」
「…、」
TH「やめても良いんじゃない？」
オッパの表情は穏やかなのに、声も瞳もとても冷たくて。
私はもうこの人に見捨てられてしまうのかもしれないと怖くなる。
TH「アヤの辛さを本当に分かってくれる人なんてきっとこの先も現れないよ。」
「っ、」
でもさ、と彼は続ける。
TH「それって、前から分かってたことじゃないの。」
「…っ、」
唇を噛みしめる。胸の奥がざわざわする。
結局のところ、彼は私がこれからどうするかなんてお見通しで。
私がなんて声をかけてほしいのかもすっかり見抜いている。
TH「分かってて、それでも立ち上がってきたのは誰？」
「…、」
TH「苦しくても前を向いてきたのは誰？」
「オッパ…、」
TH「決めるのは自分なんだよ。
アヤは、どうしたいの。」
「…私はっ、」
TH「…いつまでもここにいることはできないんだよ。」
冷たい口調とは裏腹に。私に手を差し伸べる彼はとても眩しくて。
ゆっくりとその手を握ると優しく微笑んでくれた。
「…行かなきゃ、」
TH「それが答え？」
テヒョンオッパの親指が私の手をさわさわと撫でる。
きっと答えなんか最初から出てて。でも、でもね。
「こわいっ…」
それもまた事実だと言えば、あなたは困ってしまうのだろうか。
TH「なら、俺が魔法をかけてあげるよ。」
「…え？」
TH「アリスちゃんが強くなれる、そんな魔法。」
一体どういうことだろうかと彼の顔を見上げようとしたその瞬間。
ぐっと腰を引き寄せられる。突然縮まったその距離に心臓が大きく跳ねて。
背中に回されたその腕は、とても暖かい。
TH「…俺がついてるよ、アリスちゃん。」
.
.
.
『ではステージ動きます。アヤさん良いですか？』
「…はい。」
ぐんっ、とステージごと上に上げられていくのが分かる。
そこまで高い場所に行くわけでもないのに、どんどん小さくなる人々の姿に心臓が震えた。
デビュー当初、高いところと暗いところが本当にダメで。
それでも何とか克服したけれど。でも、今もまだ。
「早く明るくなって…」
完全には克服できない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 951人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あやテテ(プロフ) - れなさん» 楽しんで頂けているようで嬉しいです！アカウントは@ayataetae_vです。コメントありがとうございました😊 (2022年4月2日 10時) (
レス) id: 04319824fe (このIDを非表示/違反報告)
れな - 楽しませてもらってます！Twitterの方のお話も見たいのでアカウントを教えて下さると嬉しいです🥺 (2022年4月2日 9時) (レス) @page50 id: 6af2f44819 (このIDを非表示/違反報告)
あやテテ(プロフ) - シオさん» 嬉しいです❤こちらこそ待っててくださってありがとうございます😊大変励みになりました！ (2022年3月8日 23時) (レス) id: 04319824fe (このIDを非表示/違反報告)
あやテテ(プロフ) - 071110rainbowさん» おまたせしました！いつもいつも嬉しいコメント励みになりました！ずっと着いてきてくださってありがとうございました🥰 (2022年3月8日 23時) (レス) id: 04319824fe (このIDを非表示/違反報告)
シオ(プロフ) - 更新待ってましたぁ✨ありがとうございます！！ (2022年3月6日 23時) (レス) @page45 id: 751457f062 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あやテテ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayatae00/
作成日時：2021年12月25日 16時
