22 Just like fire ページ22
─アイドル時代
-アヤ-
『アヤさん少し早いですが準備お願いします。』
「…はい。」
憂鬱な時間ほどすぐにやってくるし、とても長く感じるもの。
もう何度目か分からない大きな授賞式で、ソロ曲を披露する予定で。
それは全然かまわないと思っていたのに。
今はとても逃げたくて。
「あの…」
『なんでしょう？』
私の髪に何かを吹きかけているメイクさんに小さく声をかける。
手を動かしたまま私の声に反応するその人はとても冷たく感じる。
きっと、これは私の被害妄想なんだろうけど。
「お手洗いに行って来ても良いですか？」
『…分かりました。』
心底めんどくさそうに息を吐いた彼女に小さく謝って控室を出る。
こんなこと初めてだった。本番前に逃げるなんて、記憶の限り一回もなくて。
それが許される環境じゃなかったのもあるし、何より。
そんなこと思い立つことすら一度もなかったから。
やって来たのはお手洗いではなく非常階段。
一番心が落ち着く場所で、唯一誰もいない場所。
ここであの人にも出会った。
「オッパは今誰かのステージを見てるのかな。」
ぽつりとつぶやいた独り言は空気を震わせてそのまま消えていく。
「怖いなぁっ…」
リハーサルのときに偶然聞いてしまったとあるメンバーたちの話声。
『アヤのソロ、動くステージであるんだって。』
『あの子高所恐怖症だっけ？』
『今は光があれば大丈夫らしいよ。』
『…光がなくなったらあの子どうなるかな？』
『わー意地悪な顔してる〜。』
『たまには恥かかせてやりたくない？』
『そんなことできるの？』
『スタッフに良い関係の男がいるのよ〜。』
『最低〜。』
身体が震えたのを今でもよく覚えている。
パフォーマンス中のハプニングなんて割とたくさん経験したけれど。
こんな風に前々から知ってしまったときの対処法なんて分からない。
それに、もうほとんど克服した高いところ。明かりがあれば問題ないけれど…。
考えただけで泣いてしまいそうだった。
なんであんなに意地悪ばかりするんだろう。
胸の中にぽつんと落ちてきた疑問に大きく息を吐いた。
刻々と時間が迫ってくる中。
きっともうすぐスタッフさんたちが私を呼ぶ。
どこにいるんだと騒ぎだす。
きっと、逃げ出すことは許されない。
……けど。
「ここにいてもきっと誰も気付かないよね。」
そう、あの人以外はきっと。
.
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あやテテ(プロフ) - れなさん» 楽しんで頂けているようで嬉しいです！アカウントは@ayataetae_vです。コメントありがとうございました😊 (2022年4月2日 10時) (
レス) id: 04319824fe (このIDを非表示/違反報告)
れな - 楽しませてもらってます！Twitterの方のお話も見たいのでアカウントを教えて下さると嬉しいです🥺 (2022年4月2日 9時) (レス) @page50 id: 6af2f44819 (このIDを非表示/違反報告)
あやテテ(プロフ) - シオさん» 嬉しいです❤こちらこそ待っててくださってありがとうございます😊大変励みになりました！ (2022年3月8日 23時) (レス) id: 04319824fe (このIDを非表示/違反報告)
あやテテ(プロフ) - 071110rainbowさん» おまたせしました！いつもいつも嬉しいコメント励みになりました！ずっと着いてきてくださってありがとうございました🥰 (2022年3月8日 23時) (レス) id: 04319824fe (このIDを非表示/違反報告)
シオ(プロフ) - 更新待ってましたぁ✨ありがとうございます！！ (2022年3月6日 23時) (レス) @page45 id: 751457f062 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あやテテ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayatae00/
作成日時：2021年12月25日 16時
