92 アリス君との出会い ページ42
-アリス君-
実の妹が人々から誹謗中傷されているのを見ているのはどうしようもなく苦しかった。
『アメリカ？！』
「うん。卒業したらすぐにでもアメリカの大学の研究室に来ないかって。」
『また急だな。』
「行くって即答したけど良かった？」
『けど…あの企業から内定もらったんじゃ…』
「俺は向こうでもっと色んな世界を見てみたい。」
『そう…あなたが言うなら応援したいけど…。』
大学卒業前にアメリカの教授から声がかかって。
母さんや父さんには言わずにすぐに返事をした。
アメリカでたくさん学びたいっていうのも本心だけど。
でも。
アメリカに行けば、少しはアヤが苦しむ姿を見なくて済むと思ったんだ。
こんな兄貴で申し訳ないけど、それでも俺は…いや、俺たち家族は。
アヤが韓国で大バッシングされているその環境に限界を感じていた。
.
.
.
─2014年
《もしもしお兄ちゃん？》
「久しぶりだな。アヤから電話なんて珍しい。」
《…うん、ちょっとね。アメリカでの生活には慣れた？》
「うん。俺英語ペラペラだよ。通訳して欲しかったら声かけて。」
《あはは、ありがとう。》
無理して笑ってることなんて、声を聴いただけで分かる。
この年末は、韓国では大きな歌番組や授賞式が控えていることも知っている。
「なんかあった？」
《…っ、ううん。声を聴きたくなっただけ。》
涙声、鼻をすする音。
全部聞こえてくるのに、それを口に出す勇気はなくて。
随分時間をかけて、ようやく。
「なんで泣いてる？」
《…っ、》
少しだけ声が震えた。
妹が限界のギリギリ、あるいは限界を迎えるまでは誰にも頼らないことは知っていた。
いや、限界を迎えても。
小さいころからいつも俺の後ろに隠れて。
俺が少しずつ少しずつ背中を押してようやく挨拶をする。
彼女はそれくらい…一人では何もできなかった。
《今日…大きな授賞式だった。》
「そっか。」
《…ちょっと怖かったことがあって。
お兄ちゃんは…どうやって強くなった…？》
ゆっくりゆっくりと言葉を紡ぐ彼女は、自分の弱い部分を見せないように必死で。
兄である俺にすら、助けての一言も言えない。
「アヤ。」
《……うん。》
「"助けて"って。
それを言わなきゃ人は強くなれない。」
そしたらアヤはこう言ったんだ。
アヤ「私は…強くなれないや。」
.
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あやテテ(プロフ) - viviさん» 毎度嬉しいお言葉ありがとうございます！あとがきまで気にしてくださってありがとうございます。読み返してくださったんですね、大変嬉しいですっ！きっとこの先もこの物語の中で二人は幸せな日々を過ごしていくと思います。こちらこそ本当にありがとうございました！ (2021年12月19日 10時) (
レス) id: df40273254 (このIDを非表示/違反報告)
あやテテ(プロフ) - まおさん» まお様こんにちは！お兄さんとの出会いのリクエストありがとうございました！作者の思うテヒョンさんらしさがしっかり伝わっていたなら幸いです。まお様からのお言葉、いつも嬉しかったです！長い間ありがとうございました！また機会があればよろしくお願いします。 (2021年12月19日 9時) (レス) id: df40273254 (このIDを非表示/違反報告)
あやテテ(プロフ) - murasaki5027さん» わわっ、一番好きだなんて本当に嬉しいです涙。リクエストどんどん受け付けていますのでいつでも仰ってくださいね！本当にありがとうございました。 (2021年12月19日 9時) (レス) id: df40273254 (このIDを非表示/違反報告)
あやテテ(プロフ) - かのんさん» かのん様こんにちは。時間が飛び飛びになってしまいましたが本編で書けなかった部分を楽しんでもらえたようで嬉しいです！エンドレスループは冗談で言いましたが実際に読んでくださる方がいらしたら本当に嬉しい限りです笑いつもありがとうございます！ (2021年12月19日 9時) (レス) id: df40273254 (このIDを非表示/違反報告)
vivi(プロフ) - お疲れ様です！お話そしてあとがきを読む度に、作者様の設定の細かさや作品に込められた想いを実感します。最終話 完読後『僕の世界のアリスちゃん』を思わず読み返しました。この先も変わらず2人が幸せであることを願います。素敵な世界をありがとうございました、！ (2021年12月18日 6時) (レス) @page50 id: fe1e54d5e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あやテテ
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/ayatae00/
作成日時：2021年11月24日 1時
