また君を探す＊4

鈍い人 ページ14

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柿崎「私は、先に越後に戻ります。」

詩乃「景家様...
　出来たら、以前のように、接してもら
　えませんか？」


柿崎「『げん』だった時のように？」

詩乃「はい。
　駄目ですかね...」

柿崎「フッ！
　本当にあなたという人は..
　
　人を簡単に信じてしまう...
　私があなたを排除しようとするかも
　しれない....
　そうは、思いませんか？」


詩乃「何で？ 景家様が私を排除する
　んです？
　ｱｯ!
　もし、景家様が私を排除するなら、
　景虎様を思っての事でしょ？！
　心配には及びません。
　私は景虎様も景家様も裏切りませ
　ん！」


柿崎「だから、心配なのです。
　 あなたが...
　 また...誰かの思惑で傷つかない
　 か..
　 悪夢で、涙をこぼさいないか..」


優しく頬を...涙を拭うかのように...
なでた。

目を細目、心配そうに...



伊勢姫は、あの日からよく眠れていない..
景虎様の心配もあったかもしれないが、毎晩の様にうなされていた。

深夜、景虎様の様子を見に行くと、景虎様の傍らで眠る伊勢姫は、幾度となく涙を流していたのだ...

目の前で沢山の血が流れ、自らも命を狙われ逃げ延びた。
一晩中泣きながら目の前の事に取り組んだ姿は胸が熱くなった。



詩乃「景家様に、沢山助けていただき
　ました。
　私は、大丈夫です。
　景家様にとって大切な景虎様は、私に
　とっても大切な人です。
　しっかり、お世話をして早く元気にな
　ってもらいます！
　景家様の分もしっかりお仕えします！
　任せてください！」


柿崎「はぁー！
　全く...
　機転がきくのか、鈍感なのか..
　
　頼んだぞ！伊勢殿！
　春日で待っている...」


伊勢姫を景虎様の傍に置きたくないのは、景虎様の為か...それとも、伊勢姫の為か...
それもと、私の為か...



・・・・



詩乃「謙信様。朝御飯です。
　ご飯といっても七日間も眠っていたの
　で、重湯です。
　味気ないかも知れませんが、我慢して
　くださいね。」

謙信様の傷は深かったが、炎症もなく順調に回復しているようだった。
しかし、七日間も眠っていて、体力も落ちているので、日粕さん達護衛が残り長尾軍は本格的な冬を迎える前に越後に戻った。

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