偶然ですか？

ご近所さん sideF ページ26

313号室。

いや、まさかとは思ったけど。
電話で話しながら、だんだん俺のマンションに近づいてきて、うわ近いじゃんとか思ったけど。
同じマンション、同じ階？？

偶然にしてはできすぎ。
いや偶然なんだけど…！


中島と同じマンションだってわかった瞬間、嬉しすぎてガッツポーズ決めたこととかは置いておいて。
とりえず取り掛かった荷ほどきを終えよう。


段ボールの中から出てくるのは、買ったばかりであろう日用品の数々。
だってタグついてんもん(笑)
あとは、膨大なマグカップや帽子のコレクション。
オシャレか。

出会った日に二人で買い込んだ洋服。
ああこれ、試着したやつ、覚えてる。
つうか俺も同じの買ったわ。

最後に開けた箱に入っていたのは、俺と中島の縁の原点のパソコン。
俺のはまだです。
はよ入荷せい電気屋。

初期設定はまだだというので、立ち上げるためにパソコンをつなぐ。
中島を座らせ、横から説明を加えながら手順を教え込む。

近くにいるとホントに思うけど、こいつはマジで綺麗だ。
なんでこんなに顔整ってんの？
姿勢良いし。でもなんか座高低くね？
あ、足が長すぎんのか。


「風磨くん？」
「ん？」


やべ。
何だろう俺、気づいたら見つめてるとかキモい。
「わり、何でもない。なんだっけ？」

何でもないふうに返すと、中島もそのまま顔を正面に戻した。
…耳真っ赤だけど。


「中島、なんで耳赤いの？」
自分が見つめていたことは棚に上げて、中島をからかう。

今度は顔中を真っ赤に染めながら、中島は慌てて耳を隠した。
「だ、だって、風磨くんがすごい見るから…！」

…かわいい。


可愛いとかおかしいのはわかってる。
でも可愛いんだもん。

「何お前、照れてんの(笑)？」

うるさい、と頭を振る中島が本当に可愛すぎて。
ああ、もうダメな気がする。


「あー、ンなことより腹減らない？」
おもむろに立ち上がると、中島はホッとっしたように時計に目をやった。

「あ、もうこんな時間ですね。ご飯どうします？」


どうするって…作ってくれんの？

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