動き出す恋の時間

TV f〇n side F ページ9

中島がラジオで例の事件を語ってから数日後。
今日は雑誌『TV f〇n』の取材がある。
あの事件以来初の雑誌取材ですよ。

ソロコンについての話もすると言われたから、まあ…
中島もいるし、もしかしたらあの話になるかも…？


「おはようございまーす」
いつも時間ギリギリに現れる俺が、今日は指定時間の30分以上前に着いたぞ。
松島とマリウスはいつも早いから、もういる気がする。勝利は…どうだろ。
中島はまだいない、と思う。
あいつも俺と同じで結構ギリが多いからな。
あと、どんな顔すればいいのかぶっちゃけまだ分かんないから、なるべくゆっくり来てほしい(笑)

楽屋のドアを開ける。
「えっ、どうしたの風磨くん？」
松島がびっくりした顔で言う。こいつ、失礼だな(笑)
部屋の中は、予想通り。松島とマリウス、あと勝利もいた。

まだ中島はいないみたいだな、と少し安心して勝利の隣に腰掛ける。
「おはよう風磨くん、今日早いじゃん♪」
マリウスが俺の肩をたたきながら言った。
「なんで上からなんだよっ」
いつものように生意気なマリウスをいじり倒してやろうと振り向くと、見覚えのあるカバンが目に入る。
え？あれって。

「健人くんならトイレだよ」
俺の顔を見た勝利が、何が面白いのかニヤニヤしながら言った。
「はぁ？別に聞いてねえし」
慌てて返した俺の言葉に、さもおかしそうに噴き出す勝利。
こいつは何を知ってるってんだ。


ガチャッ

部屋のドアが開いた。
やべっ、中島帰ってきた！？
まだ心も顔も準備ができてねーんだけど！！


「おはようございます。もう皆さんおそろいだとうかがったので」
…んだよスタッフさんかよ。
つかノックぐらいしろよ。

「まだ時間早いですが、メイク入りますか？」
おっ、チャンス。中島が帰ってくる前に、メイク行っちゃお。
「はい、お願いしまーす」
おもむろに立ち上がった俺を見て、また勝利が笑う。バレバレってか。

用意された今日の衣装は、みんなちょっとシックな、大人っぽいやつ。
色とかデザインもみんなバラバラなんだけど、
松島とマリウスと勝利は蝶ネクタイ付きで、俺と中島はノーマル。
そんなちっさいことでちょっと嬉しいなんて思っちゃう俺、ヤバくない？

ちょうどそんなことを考えてたところに、中島が帰ってきた。
絶対顔合わせない。こんなこと考えてたのに、今顔見たらなんか気まずい(笑)

ささっと着替えて、メイクルームに移動する。


俺、意識しすぎじゃない？マジでどうした？

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