動き出す恋の時間

9.03 side F ページ7

あれから1週間以上がたった。

仕事で一緒になる機会もなく、あれ以来まだ中島とはまともに顔を合わせていない。
ホントのことを言うと、いくら予定の都合とはいえ、オーラスにわざわざ行くなんて、なんかクサいなと思ってた。最後の日に菊池が現れるってくどくない？って。

だけど、後悔は一度もしてない。俺はね。

ただ、中島がな。
嬉しいって言ってくれたけど、後になって思えばホントは嫌だったんじゃないの、みたいな不安が押し寄せてくる。
だんだん不安になるとか、マジで俺どうしちゃったんだろうね。

でも今日はそんな中島の生の声を聞くチャンス。
今日は中島と勝利の“〇じらー”。
あのオーラスのことはファンの子達の間でも相当な話題になってるらしい。

…触れるだろうな。いや、触れてほしいっていう俺の願望か。

しかも相手は、真っ先に俺に連絡を入れてきた勝利だ。
中島はどう思ったとか聞き出してくれるんじゃないかな、なんて少し期待。

22：10。ラジオが始まった。
そわそわと待機なんかしちゃって、こんなに気になってたのか俺(笑)

いたって普段通りの会話が続く。
そもそもあのことに触れるかどうかも分かんないんだし、なに期待してんだよ、なんて気分になってきた。
だんだん自分の行動が馬鹿らしく思えてきて、もうやめようかな、なんて思ったその時。

勝利の読み上げたメールが、ダイレクトにあのことに触れる。
キタ！なんて思って急にドキドキする自分に嫌気がさす。
中島はなんて言うだろう。

『いやもう、びっくりだよ。』
中島の声に思わず耳を澄ませてしまう。
しかし、勝利の話が続く。
その日のうちにスタッフさんに聞いたって？ああ、だろうな。その日のうちに連絡きたもんな！(笑)

『悶絶したよね。』
中島が言う。
悶絶？ちょっと嬉しくなってまた耳を傾ける。

『世界で1番こないと思ってたやつが来たわけよ。それは世界で1番嬉しかったかもしれない。』

…まじで。世界で1番嬉しかった？
何それ。やばい、俺が嬉しすぎてニヤける。

『風磨くんもハニーにしちゃったってことだね』
勝利が言う。
あ、なんかデジャヴ。楽屋で言われたな、お前は俺のハニーって。
でも、それを公共の電波で言うだろうか、中島さん。

『あいつも俺のハニーでした』
言ったわ(笑)言いました、躊躇いもなく(笑)

あの時の嬉しさが、再び俺を襲う。
やめてくれ、本当にどうしちまったんだよ、俺。

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