動き出す恋の時間

TV f〇n side F4 ページ15

中島に、キスした。


止めらんなかった、ってのもあるけど。

顔合わせる度に赤面しまくってるあいつに、
俺と同じ気持ちなのかどうか、俺のことを好きでいてくれてるのかどうか。
確かめるチャンスだと思って。


「…嫌じゃなかった。」
絞りだしたような中島の返事。

その答えに、どこか安心する自分がいる。

だったらもっとしたい、とか思ってる自分を無理やりセーブする。
落ち着け俺。そういうことじゃねえだろ。


ちょっと気が緩んで、思わずため息まじりの笑みがこぼれる。
「え、なに！？」
意味不明の笑みに驚く中島。
うん、ごめん、俺も分かんない(笑)



たぶん、中島は俺のことが好き。
で、俺も中島が好き。
だけど、じゃあこれからどうする？って話。

俺には、今どうすべきかさえ分かんない状況。
なのにもっと先のこと考えるなんて無理な話だから、
今はとりあえず、けじめはつけないでおこう…と思う。俺らしくないけど。

「わかった。中島！」
「はい！？」
身構える中島。気を付け！って言われたみたいに。可愛い(笑)

「とりあえず、メシだ」
「…は？」
「メシ」
「あ、おう」

中島は、きょとんとしてる。
まあ、そうなるよな。
でもごめん。キスなんかしといてあれだけど、心の整理ができるまで、もう少し待ってて。

「俺らのことは追々考えるとして。今はメシ！あんまり遅いと他の奴らが変に勘繰るからな、特に勝利は。」

ちょっと残念そうに、でもちょっとホッとしたように、中島が笑う。
俺はひとつ大きい伸びをして部屋を出る。

すると、俺に続いて部屋を出た中島が口を開く。
「勝利って言えばさ。あいつ、こないだから俺ら二人のこと異様に面白そうに観察してない？お前、勝利になんか言ったの？」

あ、やべ。あいつは全部お見通しなんだった。
中島に変な事言うなって言ったんだけど、あいつも大概いじりたがりなとこあるからな。

「…や、別に。お前のオーラスの後、あいつからメール来て。ちょっと話しただけなんだけど」
「話したって、何を？」
「『健人くんのソロコン行ったの！？』っていうから、行った、って」
「それだけ？」
「それだけ。」

ウソ。本当はそのあともけっこうやり取りした。
感想を聞かれたんだけど長くなるって言ったら電話してきて。
割と俺も興奮してたから、そのままのノリで中島のことも話しすぎちゃったんだよな。

あいつは、俺の気持ちを知ってる。
言ってないけど多分ね。
あれで気づいてなかったら逆に怖いわ(笑)

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