動き出す恋の時間

TV f〇n side K3 ページ14

…え？


俺、今、何された…？


あまりにもあっという間の出来事だった。

…今俺、風磨に…キス、された？

「…え？」
呆然として風磨を見る。
何が起こったのか、ちょっとよくわかんない。

風磨は何も言わず、それどころか表情すら変えずに
ずっと俺を見つめてる。

どうすればいいのかわからなくて、俺も見つめ返すことしかできない。
え、え、今俺、されたよね？キス…


「なあ、中島。」
ふいに風磨が口を開いた。
でも、表情は変わらない。
照れる様子も弁解する様子も全くない。

「なっ、なに」
「嫌だった？」
「…え？」
「嫌だった？今の」

風磨の質問で我に返る。
あれ、俺今風磨にキスされて、…嫌だった？




…ああ、そっか。今わかった。

ライブの後の楽屋でも、そのあと風磨に会えなかった数日でも、さっきのインタビュー前の楽屋でも。
俺が風磨に抱いてた感情は、こういうことだったのか。

男同士だから、相棒だから、って自分に言い聞かせて。
俺は、自分の気持ちを抑えつけちゃってたのかな。


風磨にキスされて、嫌だとは思わなかった。
それどころか、ずっと俺を見つめてくるあいつに、ちょっと期待なんかしちゃって。




俺、風磨のことが好きなんだ。
まだちょっとよくわかんないけど、でも。


「…嫌じゃ、なかった」
顔を見て言うのが恥ずかしくて、うつむいちゃった。

でもよく考えたら、男にキスが嫌じゃないって言われても、嬉しくもなんともなくね？
ていうか…キモいよね？

ん？でも、ちょっと待って。
風磨から俺に、キス、したよね？
それって、もしかて…？
いやいやまさか。風磨が俺を？ないないないない(笑)


「…そっか。」
いまだ表情を変えずに、風磨が言った。


風磨は？
風磨は俺のこと、どう思ってるの？

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