動き出す恋の時間

TV f〇n side F2 ページ12

「それでは、始めさせていただきます。」

よろしくお願いしまーす、と声をそろえて挨拶する。

隣には中島。
数日前までステージの上であんなにキラキラ輝いてたやつが、
今自分の隣に座ってるんだと思うと…なんか感慨深いな。

初めてこいつのソロコンを見に行って、
相棒のライブなんて客席から見たの初めてだったから、
途中で、不安になっちゃったんだよね。中島が遠くに行っちゃうような気がして。

だけど、こいつは俺の隣にいる。いつもね。
俺が会いたい時も会いたくない時も、いつでも。


おっと、今そんなこと考えてる場合じゃなかったわ。
取材が始まった。

思ってたより早く、ソロコンの話に入る。
中島はあんまり意識してないのかな。
俺はいつあの話になるんだろう、なんてドキドキしてるんだけどなあ。

すると単刀直入にその話に入った。
「菊池さんは中島さんの公演を見に行かれたそうですね？感想、教えてください。」

こっちから話振るとかじゃなくて、もう向こうがそのこと知ってたんだね。
どんだけ有名なの、この話。そんなに俺が行ったのが意外だった？(笑)

中島が、わくわくした顔で振り向く。
隣に座ってるのに勢いよく振り向いたせいで、顔の近さにビビる。
ちょっと恥ずかしそうに距離を取る中島が可愛い。
…だから可愛いってなんだ。俺、ほんとにまずいわ。

心を落ち着けて、慎重に言葉を組み立てる。
「もう…1つのブランドというか、"中島健人"っていう色を出し切ってたので。」
嬉しそうに笑う中島がヤバい。顔見ないようにしよう。

「本人からも感じるように、本当に良い悪いとかそういう次元じゃなくて、1つのブランドになってると思う。それは…よかったなと思いましたね、見られて。」
素直に、思ったことを伝える。ライブを見て思ったこと。
楽屋では言えなかったんだよな、ちょっと言葉が整理できなくて。

…中島から、反応はない。
何か言ってくれるじゃないかなんて期待してたから、少し残念に感じて中島の顔を見る。


あ。
ガチ照れしてる。

なんかめっちゃ嬉しそうに、ちょっと顔赤らめて俯いてます。
超可愛いからやめて。ほんとに可愛いから。

何も言わない俺らを見て、勝利がフォローに回った。
「悪いとこないじゃん」
それを聞いて、やっと顔を上げた中島。
目をまんまるに見開いて、手をぶんぶん振りながら、
「俺、来るって知らなかったんですよ！」


ああ、ホントに嬉しそうに言ってくれんのな。
やばい。俺、中島が可愛くて死にそう。

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