動き出す恋の時間

TV f〇n side K2 ページ11

トイレから戻ってきたら、なんと…風磨がいる。
しかも30分前なのに準備始まってる。
おいおいどういうことだよ(笑)

何気に風磨に挨拶する言葉とか準備してたのに、
あいつはこっちを振り向きもしない。
距離がちょっと縮まったと思ったのは俺だけ？これじゃ今まで通りじゃん。

少し悔しくなって、風磨とは一番遠い椅子を陣取った。

「中島さん、着替えお願いしますー。」
スタッフさんに渡された衣装。おお、かっこいい！
「みてみてけんてぃー、僕たち蝶ネクタイおそろいなの〜」
マリウスが自慢げに自分の胸元のネクタイを指さす。
「かっこいいじゃん。松島と？」
「うん、あと勝利くんね〜」


え、ってことは俺と風磨おそろい？『ネクタイなし』コンビ？
…なんて、浮かれてんのも俺だけなんだよな。
なんか悲しくなってくるから考えるのやめよう。


メイクが終わって、そろそろ取材が始まるみたい。
ソファに腰かけようとしたところで、突然風磨と目が合う。
見ないようにしてたから、衝撃があった。
向こうもびっくりしたみたいだけど、お互い慌てすぎて逆に目を逸らせなかった。

「…おう。」
若干俺の反応を窺うような、会釈を交えた挨拶。
ちょっと恥ずかしそうに、口の端に笑いを浮かべて。

え、なに、可愛いんだけど。
は？俺が勝手に拗ねてただけじゃん。風磨も意識してるー！

めちゃめちゃ嬉しくなって、ついニヤけてしまう。
「おう、おはよ！」
テンション高めに背中をたたいてやったら、想像以上にびっくりした顔で。
「テンションたっか。なに、大きい方でも出してきたの？」
「おま、朝から下のネタはやめろ(笑)」
「はっ、どの口が言うんだよ(笑)」

あー、やっぱ風磨とこうやって話せると、自信がつくっていうか。
やっと見失ってた自分の半身が帰ってきた気分。

取材のために、遠巻きに様子を窺ってた松島・マリウス・勝利がすぐさまソファを1つ陣取って座った。
そんでもって、さあどうぞ！とでも言いたげな顔でこっちを見つめている。
仕方なしに俺ら2人は反対側のに腰かけた。
なんかちょっと嬉しいから、とりあえず何か企んでそうな顔のあいつらに感謝しておこうっと。

ていうか、勝利はなんであんなに面白そうにこっち見てニヤニヤしてるんだろ？

隣の風磨を見ると、すでに雑誌に夢中みたい。
なあんだ、つまんないのー。



そんなこんなしているうちに、取材が始まった。

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