貴方が天下の大将軍になるまで、私は‥

12ー蒙恬sideー ページ15

ー蒙恬sideー






声を荒げる李榻


泣いているフリをした女性


そして、不機嫌そうな王賁に


困り顔のA。







‥…









廊下へ出た俺達が声のする部屋へ行ってみると
そこにはよく見知った顔ぶれが。




李榻の孫娘は、予想通り
他の男と縁談中だったようだ。


しかしその相手が、
よりにもよって王賁だったとは…






なぜAが、
ここに居るのかは分からないけど‥






考えを巡らせる間も無く


怒りに任せ、
拳を振り上げた李榻を制する。






突然、目の前に現れた俺に驚いた様で

すぐに冷静さを取り戻したのか、
李榻は周りを見てバツの悪そうな顔で拳を引いた。









「Aが、何か失礼を？」



榻「い、いや‥その者が縁談の邪魔をした挙句、
華を泣かせていたもので…。」






「……そうなの？A」


「あ、あの…私のせいです。」






俺の前では、
いつも気丈に振る舞っている彼女が
今にも泣き出しそうな程に困り果てている。



ふと、腕に手拭いが
巻かれているのが目に付いた。








「……その腕は？」


「これは…その…」









賁「……お前が、これを放っている間に
何処ぞの男に、手籠めにされかけていたので
助けてやったのだ。」







毅「てっ、手籠め…！？」

「そうなのA！？」




「そんな、大袈裟ですよ王賁様！！
無理矢理連れて行かれそうになってただけで…」




毅「充分ですよ姉上！！」


「…すまない、王賁

Aを助けてくれてありがとう。」






賁「…貴様に、礼を言われる筋合いは無い。」






毅「それで、手当てのためにここへ…？」


「いやぁ…それが、その…」





賁「その娘と二人きりでは間が持たぬゆえ
ちょうど居合わせたAを連れてきたのだ。
手当てはそのついでだ。」


「場を…賑やかせって言われて……」






何とも、堂々とした態度の王賁

これはAが狼狽るのも分かる…








…







「……ぷっ、あはは！！！

た、確かに…場は賑やいだね、それもかなり」


毅「兄上！！笑っては失礼です…よ！！」





突拍子も無い真相に耐えきれず、
腹を抱えて吹き出してしまった。







榻「王賁殿、間が持たぬとは！！！
何という言い草だ、失礼にも程があるぞ！！」


華「ひっ、ひどいですわ……ひっく」





泣いたフリをしていた、この女性も
王賁に間が持たぬと堂々と告げられた事に
悲観し、本当に泣き出してしまった。

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