決心 ページ26
◇
「…10歳も年下の男に
もうすぐアラサーの女が手を出すってどう思う?」
「相変わらず唐突だな〜」
彼女の手作り弁当をモグモグ食べる同期に、ラーメンをすする手を止めて私がそう聞くと、ヘラヘラ笑って返される。
この会社でも珍しい男性社員のため、こいつの意見も少しは役に立つと思ったが、別に良いんじゃねー?という適当な返答に、相談の人選を確実に間違えたと項垂れる。
「あ、言っとくけど。俺の彼女は15個上」
「…は????」
あっさりカミングアウトされたその事実に、15歳も年上なのはすごいなと何故だか感心してしまう。
「それ、周りの人に何も言われないの?」
自分の両親はともかく、相手の両親は反対するんじゃ…と自分と重ねて心配すれば、まぁお互い歓迎されはしなかったと苦笑いした。
「私の場合、家柄もだいぶ違くて」
元主従関係…?と言葉を濁して言えば、お前は一体何者なの?とおかしそうに笑う。
別に冗談でもなんでもないのだが、真剣に話を聞けと目で訴えかければ、お前さ、さっきからゴチャゴチャ言ってるけどと珍しく真剣な顔で前置きをする同期。
「好きなら、そんなの関係ないだろ」
そんな当たり前な言葉は、私の胸の中にストンと落ちた。
私、いつからこんな面倒臭い女に成り下がったんだ。
「…確かに、さっきから年齢とか家柄とか
私の思考は平安時代かよ」
「いきなりどうした怖ぇよ」
ガタンと立ち上がる私を見上げながら、そう混乱したように話す同期に、私はありがとうとお礼を言って荷物をまとめる。
「体調悪いから早退するって伝えといて!」
「いいけど。早退理由は下痢な」
「…せ、せめて腹痛でお願いします」
◇
そして、私が訪れたのは、普段通っている美容院とは違うお高めのお店。
「あの、」
綺麗なスタッフのお姉さんに声をかけると、いらっしゃいませと小鳥のような可愛らしい声で対応してくれる。
そんなオシャレな雰囲気の中、これから戦場に行くかのような意気込みで、ドンと1歩踏み出した。
「若くて金持ちな女に、
負けないくらい綺麗にしてください」
◇
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眠民。 - 最近の呪術廻戦が病みすぎて辛いので飛んできました。。最っっっ高です‥泣もう好きです。ごじょせん推しというわけでは無いのですが、このかっこよさ可愛さは神ですね(?)素敵な作品ありがとうございました! (12月2日 19時) (レス) @page29 id: 03ba19f866 (このIDを非表示/違反報告)
はく(プロフ) - えー…あ、っとー…もう最後の展開も好きすぎて携帯ぶん投げました。はい。抑えきれませんでした。スキイイイイイイイイイイイイイイイイイ (2022年1月19日 2時) (レス) @page29 id: 480d828c8e (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - 題名で一本釣りされました。ネーミングセンスと作品作るセンス有り過ぎでは? (2021年2月27日 10時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
裸足のシンデレラ(プロフ) - 凄い面白いです!ただ疑問なのが有り1作目の時、主人公は19歳で高校生だったという事でしょうか? (2021年2月26日 20時) (レス) id: a4ec8b23ee (このIDを非表示/違反報告)
ゆっちゃん(プロフ) - 続編おめでとうございます。前作から読ませて頂いてましたが、続きが見れて嬉しいです! (2021年2月25日 23時) (レス) id: 6e82a1bfb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2021年2月25日 15時