厄日 ページ22
◇
「…馬鹿だなぁ、私」
悟にもなんて言えば良いのか…
自分勝手だって怒られるかな。
でも、私も婚約の話なんて聞いてなかったし。
そう色々なことを考えながら、さっさと五条家を出ようと扉の前に立ち、一直線に引き戸に手を伸ばす。
しかし、反対側には先客がいたようで、先に扉を開けられてしまった私は、空を切った手を咄嗟に引っ込めた。
「「…あ。」」
お互い顔見知りなわけでもないのに、重なった二つの声。
心当たりのある人物に、色々な感情を我慢して、すみませんと頭を軽く下げれば、ふっと軽い笑い声が耳に入った。
「あなたが”あの”Aさん」
「…?初めまして」
勘違いかもしれないが、私を見下すような喋り方。
しかし、残念ながらそれは勘違いなどではないらしく、彼女は完全に私を馬鹿にしている様子だった。
「どこへ行ってらしたんですか」
そんな唖然と立ち尽くす私の後ろから、恐らく彼女の付き人であろう女性が、叱るように声をかける。
すると、ごめんごめんと付き人の女性に数度謝ったその子は、チラッと私を一瞥して、二人で奥に行ってしまった。
・
まぁほら。
悟のお父さんが認めたんだから、性格はちょっとアレでも本当は優しいんでしょ?
本当はすごく良い人で、休日は全部ボランティアに費やしてるとか。
そう自分を納得させようと、あまりにも無理のある彼女の性格を捏造していれば、家の中からあははと高い笑い声が聞こえる。
そして、思わず笑っちゃった!なんてお茶目に話すあの子の声がこちらまで届くと、もう一度楽しそうに笑って言った。
「だって、
あんな地味な人だと思ってなかったもん!」
・
・
…はっ倒すぞ、小娘。
・
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眠民。 - 最近の呪術廻戦が病みすぎて辛いので飛んできました。。最っっっ高です‥泣もう好きです。ごじょせん推しというわけでは無いのですが、このかっこよさ可愛さは神ですね(?)素敵な作品ありがとうございました! (12月2日 19時) (レス) @page29 id: 03ba19f866 (このIDを非表示/違反報告)
はく(プロフ) - えー…あ、っとー…もう最後の展開も好きすぎて携帯ぶん投げました。はい。抑えきれませんでした。スキイイイイイイイイイイイイイイイイイ (2022年1月19日 2時) (レス) @page29 id: 480d828c8e (このIDを非表示/違反報告)
緑の白猫 - 題名で一本釣りされました。ネーミングセンスと作品作るセンス有り過ぎでは? (2021年2月27日 10時) (レス) id: 41276e8159 (このIDを非表示/違反報告)
裸足のシンデレラ(プロフ) - 凄い面白いです!ただ疑問なのが有り1作目の時、主人公は19歳で高校生だったという事でしょうか? (2021年2月26日 20時) (レス) id: a4ec8b23ee (このIDを非表示/違反報告)
ゆっちゃん(プロフ) - 続編おめでとうございます。前作から読ませて頂いてましたが、続きが見れて嬉しいです! (2021年2月25日 23時) (レス) id: 6e82a1bfb5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2021年2月25日 15時