キヨ*泥棒と私2 ページ2
平原から少し走ったところには、森があった。
森を奥へ奥へと進むと、そこには小屋があり、私達はそこに逃げ込んだ。
?「あー助かった……。」
男は、額の汗をタオルで拭きながら呟いた。
『あ、あの、えっと、さっきはありがとうございました…。』
私はお礼を言い、その場からすぐに去ろうとした。
知らない人についていくのはいけないもんね?
?「あ!!お前どこ行くんだよ!」
『えっ』
?「どうせ戻るところないんだろ?親と喧嘩した的な」
な、なんで分かるんだろう……?
ま、まさか危ない人!?
?「なんでそうなるんだよ!ちげーから!」
あ、そっか、よかった。
『じゃあ、あなたは誰なんですか?』
キ「キヨ。泥棒だよ。お前は?」
『Aです……って、えぇ!?ど、ど、泥棒!?なんで!?』
キ「な、なんでって」
泥棒になぜ泥棒なのか、と聞くのはおかしいと思うが、咄嗟に出てしまった言葉だ。仕方がない。
『じゃ、じゃ、じゃあ泥棒ってことは、私の持ち物盗むの!?』
キ「ま、待てって落ち着けって!!第一お前、何も持ってないだろ」
『はっ!あっ、そ、そうだった!て、てことは、泥棒さん何を盗むの!?』
泥棒のいる小屋、それだけでパニックになってしまった私の肩を押さえ、彼は大きな声で言った。
キ「お前の持ち物なんか盗まねえよ!!俺は別に悪いやつじゃあない!泥棒だけどな!すれ違う人全員の持ち物ホイホイ盗むわけないだろ!」
はっと気がつき、私はようやく落ち着きを取り戻した。
体中から力が抜けて、私は床に座り込んでしまった。
『そ、そっか……。
怖い人じゃないんだね…よかった。』
キ「…まぁ、何もしない泥棒ってわけじゃあねえけどな」
『そうだよね…よかっ……え?』
キヨの言葉に驚き、私は彼の姿を探した。
見つからない。
『ど、どういう意味?』
キ「だから。」
後ろからそんな声が聞こえた。
すぐに振り向くと不気味な笑み…俗に言うゲス顔を浮かべながら、彼は低い声で言う。
「泥棒は何かを盗む。
俺は「お前」を盗む」
森の奥にある小屋には、泥棒と私の二人きり。
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作者名:粉ぺぱん | 作成日時:2014年10月25日 18時