侍の紅一点【WBC】

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3月3日のバンテリンドームはこれまでに無いほど熱を帯びていた。


試合前には、「大谷君世界一！」というものから「栗林！誠也の分まで頑張れ」といかにも鯉党らしきものまで綴られた横断幕が発表され、ファンがこぞって写真を撮影していた。



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一方、私たち侍ジャパンは裏でミーティングを行っていた。






栗山「まずはね、ヌートバーが合流しましたので。よろしくお願いいたします」

ラーズ「ヨロシクオネガイシマス！」






新幹線の中で必死になって練習した甲斐があり、たっちゃんはここぞとばかりに日本語を披露した。

すると案の定スタッフから選手までが沸き、非常に温かい目に包まれるようになった。






栗山「そして翔平、一平、A。合流お疲れ様でした」






と言うと、私たち3人に送られる盛大な拍手が聞こえた。



しばらくして拍手が鳴り止んだ頃、監督は一間置いて口火を切った。






栗山「それでは、大阪で正尚が合流するのでついに全員揃って試合に向かいます。本当は牧原も今日合流の予定だったのですが、ソフトバンクの協力で少し早く来れました。感謝しています」

牧原「こちらこそありがとうございます」

栗山「いえいえ。期間は短いんですけど、良いチームを作って勝つしかないのでお願いします」






大学野球とはまた違う、学芸大出身の栗山監督ならではの理路整然としたミーティングに私は感銘を受けていた。


それは2021年12月に侍の統率者となった栗山監督の静かに燃え盛り続ける闘志を感じられるものだった。



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試合前グラウンド練習では、たっちゃんTシャツを着たたっちゃんが、たっちゃんTシャツを着た侍メンバー全員とハグを交わす光景も見られ、非常に良好な雰囲気を感じ取った。






ラーズ「You seems like the nicest guy I've ever seen」

「君は今まで見た中で1番良い男だ」

戸郷「えぇっ！？マジすか(笑)」






私の通訳の業務もだんだんと本格化してきたことで、通訳するたびに達成感が少しずつ積もっていった。


WBCが終わってほしくない。本社に帰りたくない。

そう思ってしまうほどだった。







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