たった一度の恋。2 (ページ22)

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「あああああもう‥！」

「いきなりなに、うるさいんだけど」

楽しかった大学祭からあっという間に時は過ぎて

冬本番の寒さが講義室にいても感じている今、

ため息と共に苛立ちを吐き出した俺にジンは冷たい視線を向けた。

「Aさん、今日も残業なんやってさ」

「ふーん、大変そうだね」

ジンと会話をしながらでも

俺の目は携帯の画面に固定されている。

A：今日も残業になるから会えないごめんね

余裕がないのか一通に敷き詰められた言葉。

Aさんは最近ある仕事を任されたらしくて

毎日残業やらなんやらで忙しく働いている。

つまり、全っっ然会えてないってこと。

「仕事は仕方ないじゃん」

「分かってるって」

「なら頑張って、って返してあげたら？」

分かってる。忙しい彼女を支えるのも励ますのも

彼氏の俺の役目だって分かってるけど

今日は久しぶりに会えるから、楽しみやってん‥

「今日飲みに行こうか」

「うーん‥」

「それ私達も入れてー！」

ジンの飲みの誘い中、乱入してきたのはツムギだった。

予定も無くなったしひとりでいるよりはマシかも

とモナも入れた4人で俺達は街に出た。

「ここも無理みたい」

「えーどうしようね」

今日は金曜日。華金の居酒屋はどこも満席で

寒い夜空の下、俺達は白い息を吐きながら頭を抱えている。

するとそこにポツリとジンがある言葉を落とした。

「廉の家って近いよね？」

「あーまあ、近いけど‥‥」

その瞬間、期待で溢れた6つの瞳が俺に向けられる。

「‥‥‥え！来んの！？」