たった一度の恋。2 (ページ20)

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みんなと別れてAさんに色々な場所を見せた。

講義室、研究室、グラウンド、中庭のベンチ、学食、カフェ。

Aさんも知ってる場所があるのは分かってるけど

俺が毎日見てる風景を全部見て欲しいんだ。

「今でもバスケ、するの？」

「するよ。みんなが揃えば、やけど」

「そっか楽しそうだね」

最後に連れてきたのは、いつもみんなで遊んでる

外でバスケが出来るあの場所。

Aさんは落ちていたボールをゴールに向かって投げた。

そのボールはリングに弾かれ外れると

コロコロと俺の足元に転がってくる。

「下手やん(笑)」

「廉くんみないに上手くないもん」

「簡単やで、ボールの持ち方と当てる場所さえ分かれば」

Aさんに持たせたボールを

彼女の後ろから手助けしながらゴールへ放つと

パサッと乾いた音と共にゴールへ吸い込まれていった。

「わ‥凄いね、廉くん」

「今のはAさんが投げたんやで」

少し前はこんな日が来るなんてただの夢でしか

なかったのに、目を輝かせるAさんは

現実としてちゃんと目の前にいて

なんやろ‥とにかく、もう‥幸せすぎて苦しい。

「っ、吃驚した‥どうしたの？」

「ん？好きやなぁ、と思って」

堪らず抱き締めると驚いたのか一瞬体を強ばらせたAさんは

すぐに受け入れて抱き締め返してくれた。