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「擽ったいんやけど、誘ってんの?」
金曜の夜、泊まりに来たAさんちの
ベッドの中でふいに彼女の指先が俺の頬に触れて
ジッと見つめてきた。
「ん?」
「ん?じゃなくて、どうしたん。キス待ち?」
「ううん、そうじゃなくて廉くんってさ」
「なーに」
「肌、綺麗だよね」
「今更?(笑)」
「うん、すべすべで気持ちいい」
少し冷えた指先で頬を撫でる彼女は眠いのか
徐々に、瞬きの速度がゆっくりと遅くなっていく。
そんなAさんを見つめ続け
眠りに落ちる瞬間まで眺めていられる幸せを感じながら
瞼を閉じて寝息を立てる彼女の頬に口付けた。
「廉くん、学校遅れるよ」
「‥‥‥‥はーい」
その日の翌朝、大学に行くのは面倒だけど
土曜の朝この声を聞く事だけは好きになっている。
「んー‥めっちゃいい匂いする」
キッチンに立つAさんを後ろから抱き締めて
首筋に顔を埋めると、香る大好きな人の匂い。
「おはよう、廉くん」
「おはよう、Aさん」
頭を撫でて構ってくれる彼女の唇に口付けた。
幸せが目に見える形で表すとしたら
俺にとっての幸せはAさんそのものだ。
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作者名:みょん氏 | 作成日時:2019年10月19日 15時