たった一度の恋。2 (ページ1)

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俺には年上の彼女がいる。

その人の笑顔を見るとなんでか泣きそうになって

その人の泣き顔を消すために笑顔にだってなれる。

これが恋だというのなら

俺はこの恋が初恋で、後にも先にもたった一度の恋だ。

「優太、ちょっと」

昼過ぎ、大学に来た俺はたまたま見掛けた

紫耀やサークルの友達とバスケをしている優太を呼び出した。

急かすように手招きすると駆け寄ってきてくれた

優太はなに？と言いたげに眉を上げる。

「付き合った」

「‥‥‥あ！Aさんと！？」

「ハハ、そうそう(笑)」

優太は瞼を限界まで開いて驚いた顔したあと

俺の肩を抱いて良かったな！と力強く言ってくれた。

それから少しだけ時間が経って講義が始まると

隣に座っているジンがいきなり

「廉さ、なんかいい事あったっしょ」

なんて言うから、こいつの洞察力は神だと思う。

「なんで？」

「なんかにやにやしてるから」

「別に、普通やん」

「まあどうでもいいけど」

前に向き直ったジンに向かって

俺はどうでもいいんかい。と内心でツッコミを入れた。