プラトニック２ (ページ11)

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髙木といわゆる『恋人』という間柄になって、３ヶ月ほど経った。

俺達は驚くほど順調だった。

お互いの仕事の事情や都合は分かり過ぎる程よく分かるから、忙しくて会えないからと言って不満を抱く事などない。
実際にそういう立場になってみれば、俺は髙木に対して以前は持て余していたドロドロした独占欲をあまり感じなくなった。

それは髙木が事あるごとに俺を優先してくれたせいでもあるし、『恋人』というポジションになれた事で余裕が出来た事にも起因するのだろう。

髙木は世にいうスパダリだった。

俺も男なのに、飯を食いに行った時や部屋へ遊びに行った時のエスコート具合は完璧。
友人たちと飲みに行く時は、同行するかを必ず聞いてくれるし、俺が学生時代の友人と飲みに行く時には詮索もせず、時間が合えば迎えに来てくれたりもする。

オフがなかなか合わなくて、二人で出掛けられる機会はあまり無かったけれど、メッセージのやり取りや電話でその隙間を十分に埋め合えた。

本当に、順調だ。

ただひとつ。
セクシャルな事柄を除いては。

元々俺は(多分髙木も)、女の子が大好きだ。

当然ながら今まで付き合ったり、体の関係があったのは女の子だけ。
それは髙木も同じだろう。

付き合って３ヶ月経つ俺と髙木の間に、セクシャルな関係は今のところ一切無い。

良くてハグまで。

キスすら、したことがない。

今までの女の子とのお付合いとは比べ物にならないくらい、純粋でプラトニックな関係だった。

でも心は満たされていて、特に不満も不安も感じる事はなかった。

その時までは。

それを自覚したのは、久しぶりに仕事が立て込んで、疲れが溜まってきた頃。

男の生理現象とでも言おうか、どうしても疲れてくると、逆にそういう気持ちになる時がある。

10代、20代のような血気盛んな時代は過ぎたけれど、それでもそういう衝動を持て余してモヤモヤする。